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旅の名言 「さて、これからどうしよう……」

 <さて、これからどうしよう……> 
 そう思った瞬間、ふっと体が軽くなったような気がした。
 今日一日、予定は一切なかった。せねばならぬ仕事もなければ、人に会う約束もない。すべてが自由だった。そのことは妙に手応えのない頼りなさを感じさせなくもなかったが、それ以上に、自分が縛られている何かから解き放たれていくという快感の方が強かった。今日だけでなく、これから毎日、朝起きれば、さてこれからどうしよう、と考えて決めることができるのだ。それだけでも旅に出てきた甲斐があるように思えた。

『深夜特急〈1〉香港・マカオ』 沢木 耕太郎 新潮文庫 より

本の紹介記事

超有名な『深夜特急』の旅立ちのシーンです。

現在の仕事や将来のことなど、様々な重荷を振り払うようにして日本を飛び出してきた沢木氏は、最初に降り立った香港の空港で偶然出会った人物に導かれるようにして、ある宿に滞在することになります。

冒頭の言葉は、彼が翌朝、街へ歩き出した瞬間の気持ちを語っています。

人間が新しいシチュエーションに足を踏み入れる時によく使われる表現に、「期待と不安」というのがありますが、このシーンの場合は、広大な自由の世界への期待に満ちあふれて第一歩を踏み出した感覚を、フレッシュに表現しているといえるでしょう。

もちろんそれは不安と裏腹なものですが、沢木氏の場合は「自由の快感」の方をずっと強く感じたようです。氏に限らず、旅を愛する人は多かれ少なかれ、この瞬間の感覚に惹かれて旅を繰り返すのかもしれません。

しかし残念ながら、その自由の感覚は永遠に続くわけではありません。沢木氏は旅を続けながら自らの内面も冷静に見つめ、『深夜特急』全体を通じて、それがどのように変化していくかを表現しています。

「旅は自由だ!」と言いきるだけでは、若者をそそのかす単なる扇動になってしまいます。それだけでは終わらない、旅の様々な側面を表現することで、この作品は「旅の名作」といえるだけの内容になっていると思います。


『深夜特急』の名言

at 19:05, 浪人, 旅の名言〜旅の予感・旅立ち

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