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『深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン』

深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン
深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン
沢木 耕太郎

 

Kindle版はこちら

評価 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です

『深夜特急』の第6巻は、イタリアのブリンディジから、旅の終着点であるロンドンまでを描いています。

イタリアを北上しフランスへ抜けた沢木氏は、残り少なくなった旅行資金を元手に、モナコのカジノでマカオのリターン・マッチに挑もうとしますが、ある事情でそれはかなわず、そのままマルセーユまでやって来ます。

そこからパリ、ロンドンまでは目と鼻の先でしたが、沢木氏はこのまま旅を終えることに納得がいかず、そのまま西へ、マドリッド、リスボンへと疾走します。そこでもやはり満足できなかった彼は、ついにユーラシア大陸の果ての果て、サグレスに辿り着き、そこでようやく旅の終わりを実感することができたのでした。

一体どこに行けば満足できるのか、出口も見えず、何も分からないままに走り続け、ついに行き詰まった極限の果てにやすらぎを見い出すという、サグレスでのシーンは非常にドラマティックです。沢木氏のペンによる巧みな演出もあって、実際以上の劇的効果をあげていることも確かでしょうが、ここまで読んできた読者は大きなカタルシスを感じることでしょう。

その後、すでに気持ちの上では旅を終えたとはいえ、沢木氏は律儀にも「最後のピリオド」を打つためにロンドンに向かいます。そして……。

ここでもさらなるオチが用意されていて、読者を楽しませてくれるとともに、さらに広がっていく大きな世界へ読者を導いてくれるようでもあります。

沢木氏はこの『深夜特急』を完結させるのに、実際の旅から十数年の歳月をかけています。第5巻、第6巻を読んでいると、その理由が分かるような気がします。

旅をしている時、自分に一体何が起こっているのか、私たちはすべてを把握しているとはいえません。何年も経って当時を振り返った時に初めて「なるほど!」と分かってくることもあるし、当時は自分でも不可解だった行動の意味がようやく説明できるようになることもあります。

旅を実際に生きるということと、多くの人に「旅の物語」を語れるようになることとの間には大きな違いがあります。表面的な紀行文を超えて旅の本質を描き出そうとするならなおのこと、そこにはある程度の歳月と自分自身の内面での咀嚼が必要になるのでしょう。

『深夜特急』は、若者らしくいささか荒っぽい、時にはユーモラスな行動の記録と、それを落ち着いて語れる「語り部」としてのバランス感覚がうまく調和していて、何となく、話上手なおじいさんの語る冒険物語を聞いているような感じさえします。

それはもちろん悪い意味ではなく、読んでいるうちに、昔話に耳を傾ける子供のように話に引き込まれてしまい、いつしかそれは、一人の若者の旅の記録という体裁を超えて、話自体がまるで人生の隠喩のようにさえ感じられてくるということです。

読み通すには少々長いのですが、旅の好きな人には特におすすめしたい本です。

『深夜特急〈1〉香港・マカオ』の紹介記事
『深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール』の紹介記事
『深夜特急〈3〉インド・ネパール』の紹介記事
『深夜特急〈4〉シルクロード』の紹介記事
『深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中海』の紹介記事


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします

at 19:47, 浪人, 本の旅〜ヨーロッパ・中東

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