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好運?不運?

中国の雲南省を旅していたときのことです。

金平(ジンピン)を早朝に発つバスで個旧(ケチウ)に向かいました。このルートは雲南の山中を走るので、悪路を登ったり下ったりという、なかなかしんどい旅になりますが、時には尾根道からはるか下の谷底まで棚田が続く、目の覚めるようなパノラマが楽しめたり、沿道を行き交う少数民族のカラフルな民族衣装を見ることもできて、退屈する心配はありません。

昼過ぎ、そろそろ個旧にも近づいてきたかと思われる頃、山道を登っていると突然破壊音がして、バスの左前輪が外れてコロコロと転がっていくのが窓から見えました。あっけにとられる間もなく、バスはガラガラと道路を豪快に引っかくと、道の真ん中に「座礁」してしまいました。

とりあえず全員が外に出ましたが、前輪部分が派手に壊れていて修理の余地もないらしく、運転手も車掌の小姐も途方に暮れるばかりです。バスが狭い山道を塞いでしまったので、やがて前後に車の列が出来はじめました。

私は、「こんな状態では、レッカー車か何かが到着するまで、前にも後ろにも進めないな」とぼんやり考えていました。しかしそもそもこんな山の中にレッカー車なんていうものがあるのか、あったとしても渋滞の中どうやってここまでたどり着けるのか想像がつきませんでした。

そしてそんなことよりも、下り坂やスピードの出ているときに車輪が外れなくて本当によかったと思いました。もしそうなっていたら、私たちはバスごと谷底に落ちていたかもしれません。

そうこうしているうちに、待ちきれなくなった後続の車が、崖側に残ったわずかな隙間をゆっくりと通過して無事反対側に抜けました。私たちも協力して岩の破片を崖側に敷き詰め、通りやすくすると、後続のバスも反対側に抜けることができました。

私たちはそのバスに乗り換えると再び個旧に向けて出発しました。

バスが順調に山道を走っていると、再びガシャン!という衝撃と破壊音がしました。何が起こったのか一瞬分からず、「爆発か?」と思いましたが、次の瞬間ガラスの破片がバラバラと後ろから飛んできたので、追突されたのだと分かりました。

バスは衝突ではずみがついたのか、急加速して坂道を滑り降りていきます。対向するトラックを何とか左にかわしたものの、まだブレーキが効いていないようでした。

スローモーションでも見ているみたいに、全ての状況がハッキリと目に飛び込んできます。「このまま谷底に落ちて死ぬのかな」と思いました。一瞬のことで体は動かず、妙に冷静でした。

ブレーキが間に合って、バスは何とか道路上で止まりました。乗客がわれ先に飛び降ります。後ろを見ると、追突してきたのは後続のバスのようで、今私たちがよけた対向車のトラックにもぶつかって止まっていました。後ろのバスのドライバーは額を割って血を流していましたが、見たところそれほどの重傷ではなさそうだし、他にケガ人もいないようです。

とにかく大惨事はまぬがれたものの、事故現場を保存することになったらしく、その場で足止めを食うことになりました。再び前後に渋滞が発生し、乗客のほかにもあちこちから大勢の見物人がやってきて、事故現場の周りでワイワイと議論が始まります。近所に住んでいるのか、カラフルな衣装の少数民族の人々も見物にやってきました。

1時間すると、やっと公安のパトカーがやって来て、デップリと太ったオヤジさんと若い男女の助手が現場検証を始めました。その間、渋滞で止まっているトラックの中には、積荷を下ろしてミカンやお菓子を売る商売人も現れました。ヤジ馬も興奮して「祭り」状態なのか、待たされてイライラしていたのか、そうしたお菓子が飛ぶように売れていきます。

事故から2時間くらいたってようやく検証が済みました。どの車も派手にガラスが割れ、ボディもグシャグシャでしたが、なんとか走ることはできたので、バスは再び乗客を乗せて出発しました。

結局、日も暮れようとする頃になって、ようやく個旧にたどり着きました。夕暮れの光の中で見たせいか、個旧はホコリっぽい、レンガ色の街でした。

今になって思えば、一日に二度も事故に遭いながら、乗客全員カスリ傷も負わず、無事終点までたどり着けたのは非常な好運だったような気がします。いずれのケースも一歩間違えれば全員が谷底に落ちて、誰も助からなかったかもしれません。しかし一方では、本当に運がいい人なら、こんな事故には遭わないという気もします。

事故に遭いながら難を逃れるというのは、好運なのでしょうか、それとも不運なのでしょうか?

at 19:26, 浪人, 地上の旅〜中国

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