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『青春を山に賭けて』

青春を山に賭けて
青春を山に賭けて
植村 直己

 

文庫新装版(2008年)はこちら

Kindle版はこちら

評価 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です

この本を最初に読んだのは、カトマンズに滞在していたときのことです。カトマンズには、日本人バックパッカー御用達の有名な古本屋があって、まるで図書館のように何千冊も並べられた日本語の本の中から、好きなものを選ぶことができるのです。

中国・チベットの旅を終え、日本語の本に飢えていた私には願ってもない環境でした。タメルの安宿街でネパール人の作ってくれる世界各国の美味しい料理を堪能しながら、しばし旅を忘れ、読書三昧の日々を送ったものです。

そんな中で何気なく手にとった本書でしたが、読み始めるとまたたく間に引き込まれ、夢中で読みふけりました。

ヒマラヤの山々への挑戦の物語を、現地に近いカトマンズで読んで臨場感が増したということもあるでしょうが、それ以上に植村氏の破天荒な青春の物語に、「日本にもこんな突き抜けた人間がいたんだ」と、胸がワクワクしました。彼のような冒険はできないまでも、自分のささやかな旅を続けるために、大いに元気をもらったような気がしたものです。

植村直己氏は、大学を卒業した1964年、好きな山登りを続けるために日本を飛び出すと、アメリカやフランスで働いて資金を作り、ヨーロッパ大陸のモンブラン、アフリカ大陸のキリマンジャロ、南米大陸のアコンカグア、アジア大陸のエベレスト、北米大陸のマッキンリーと次々に登頂に成功し、世界で初めて五大陸の最高峰に立つという快挙を成し遂げました。

その間、ヒマラヤのゴジュンバ・カンやエベレストの登頂時にはチームに合流しましたが、それ以外は、彼はいつも一人で困難を乗り越えていきます。日本を離れて海外で生活の糧を稼ぎ、耐乏生活を送りながら旅の計画を練り、現地では役所との交渉に臨み、一人で山に挑み、山頂に立ちました。

夢に向かってすべてを賭け、休むことなく、たった一人でひたすら道を切り開いていく植村氏の姿に、とても熱いものを感じます。そしてまた、彼が1984年にマッキンリーで消息を絶ったことを知っているだけに、読んでいて切なくなります。

私は山登りをしないのですが、本を読むだけでも、山への挑戦の、死と隣り合わせの凄まじさが伝わってきます。そうした危険と困難を乗り越えて、彼がどんな喜びを得ていたのか、何がそんなに彼を駆り立てていたのか、私たちはこうした記録からかすかに想像することしかできません。

しかしそれが何であったにせよ、植村氏が地球そのものを自己表現の舞台に選び、命を賭けて私たちに見せてくれたものは、数十年経った今でも、私に畏敬の念のようなものを呼び覚まします。

植村氏の簡潔でユーモアも交えたあっけらかんとした文章は、私たちの日常的現実から突き抜けてしまっているために、まるで現代のおとぎ話のような味わいさえあります。あと数十年経ったら、ひょっとするともうすでに、彼は伝説の人物となって、まるで時代劇のヒーローのように語られるようになるのかもしれません。

一人の冒険家の、破天荒な青春の物語として、多くの人に読んでほしいと思います。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします

at 20:28, 浪人, 本の旅〜世界各国

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