このブログ内を検索
新しい記事
記事のカテゴリー
            
過去の記事
プロフィール
            
コメント
トラックバック
sponsored links
その他
無料ブログ作成サービス JUGEM
<< 幻のドリアン・アイス | main | 旅の名言 「男は、……」 >>

『風邪の効用』

風邪の効用
風邪の効用
野口 晴哉

評価 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります

現代の社会の常識では、風邪は薬を使ったりして早く治すべきものとされています。風邪に伴う症状は不快だし、下手にこじらせればもっと重い病気になるかもしれません。それに忙しい人々にとって、風邪で会社や学校を休むと、貴重な時間を無駄にし周りの人にも迷惑をかけるので、一刻も早く克服すべき厄介ごとかもしれません。

この本は、こうした常識的な風邪の見方をくつがえす、刺激的な内容にあふれています。

著者の野口晴哉氏は、風邪を病気とはとらえず、各人の偏った運動習性によって体に蓄積された疲労を正すために、体が自発的に治療を行なっているのだと考えます。

そうだとすると、風邪は病気どころか、体が自らを癒そうとする自然のプロセスであり、もしも薬などを使って風邪の症状を抑えようとすると、せっかくのそのプロセスを阻害し、風邪の原因となった体の疲労をそのまま抱え込むことになってしまいます。

私は風邪は病気というよりも、風邪自体が治療行為ではなかろうかと考えている。ただ風邪を完全に経過しないで治してしまうことばかり考えるから、ふだんの体の弱い処をそのまま残して、また風邪を引く。風邪を引く原因である偏り疲労、もっと元をいえば体の偏り運動習性というべきものですが、その偏り運動習性を正すことをしないで、いつでも或る処にばかり負担をかけているから、体は風邪を繰り返す必要が出てくる。それでも繰り返せるうちは保証があるが、風邪を引かなくなってしまったら、もうバタッと倒れるのを待つばかりである。

この見方に立つと、風邪を引かないのは健康だからではなく、風邪を経過することによって偏りを正すという自然のプロセスを阻害し続けたために、いつの間にか体がすっかり鈍感になってしまい、体の疲労や偏りを感じとれなくなってしまったからかもしれないのです。

逆に、自らの体を通じて風邪のプロセスをよく観察し、適切な処置をとることで、正しく「風邪を全うする」ことができるようになれば、風邪を経過することで、「体が蛇が皮を脱いだようにサッパリし」、体が弾力を取り戻し、以前よりも丈夫にさえなるというのです。

私は野口氏の整体はおろか、医学全般についても詳しくないので、氏の著作についてその真偽を語れる立場にはありません。そのため、この本の内容が正しいと言い切ることはできません。

ただ、この本で示されている風邪についての基本的な考え方、風邪は体が自然にバランスを回復しようとするプロセスであり、それを人為的に操作して抑えつけたりするよりも、むしろ上手に経過させるべきものである、という考え方には共感を覚えます。

もちろん、この考え方を実際の生活に生かせるようになるためには、知識や実践の上でさらにいろいろと学ぶべきことがあるでしょうし、実際に熱や痛み、咳やくしゃみなど、風邪の症状が現れたとき、薬を飲まずに適切な処置だけをして経過を見守るというのはそれなりに勇気のいることでしょう。

私としては、風邪を引いた場合、時間的・状況的に許されるなら、体が要求している自然のプロセスをできるだけ乱さないようにし、同時に、素人療法に陥る危険を避けるため、いつも他の選択肢は用意しておくべきだと思います。もしも自分の手に負えないと感じたら、すぐに現代西洋医学を含めた専門家の判断を仰ぐようにするというのが、現実的な対応なのではないかと思います。

この本は、所々に整体の専門用語も出てくるため、初心者にとって決して読みやすい本ではありませんが、人間の体や心理についての野口氏の見方には、深い経験に裏づけられた非常に鋭いものがあり、風邪というテーマにとどまらず、日常生活での養生について、いろいろと考えさせられます。

野口氏の考え方に共感する・しないに関わらず、この本に一度は目を通してみる価値はあると思います。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします

at 21:00, 浪人, 本の旅〜身体技法

comments(0), trackbacks(0)

スポンサーサイト

at 21:00, スポンサードリンク, -

-, -

comment









trackback
url:http://ronin.jugem.jp/trackback/153