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『間道―見世物とテキヤの領域』

間道―見世物とテキヤの領域
間道―見世物とテキヤの領域
坂入 尚文

評価 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります

この本は、NHKの「週間ブックレビュー」で知りました。

東京芸大の彫刻科を中退後、仕事を転々としていた坂入尚文氏は、1970年代の終わりに大学の先輩である松崎氏と出会い、見世物小屋「秘密の蝋人形館」の巡業の旅に出ます。

しかし、わずか数年で思うような興行ができなくなり、見切りをつけた坂入氏は千葉の農村に入り、無農薬農業に取り組みますが、そこも数年であきらめ、テキヤとなって再び旅暮らしを始めることになります。

最初の見世物小屋時代、農村での生活、飴細工師としての長い生活と、各地を渡り歩きながら旅に生きてきた坂入氏の半生が、主に北海道を舞台に、印象深い人々との出会いのエピソードを交えて描かれています。

私の子供時代、身のまわりに見世物小屋はすでになく、テキヤの世界も映画の「寅さん」という、ある意味で美化されたイメージしかありませんでした。それだけに、本書を通じて、見世物小屋、テキヤの仕事の舞台裏を初めて知ることができました。

これは「見世物とテキヤの領域」に飛び込み、そこで生きてきた人物による自叙伝です。本書に書かれていること以外にも、語り尽くされぬことは山ほどあるだろうし、記憶の糸をたぐっていくような、その筆の運びには何ともいえない迫力があります。

見世物小屋時代に知った旅が忘れられず、旅をしながら金を稼ぐためにテキヤを選んだと坂入氏は書いていますが、あえてそうした生き方を選んだ心の底には、戦後の高度経済成長という「暴力的に変貌する時代」の中で、忘れ去られるようにして次々に消えていくものや、日の当たるような生き方を見い出すことなく、「間道」をひたすら走り抜けるようにして生きている人々に対する深い共感があるように思います。

彼らと共に生きることは、まるで、止めようもない時代を相手に戦っているようで、そこには「敗退の歴史」しかありえず、将来への希望もないように見えます。しかし、坂入氏は「あとがき」でこのように述べています。

 見世物は底抜けの芸や見る人の胸ぐらを掴むような演出を見せて消えて行く。その人たちと会えたことは私のささやかな勝利だ。まっとうな世の中ではやってられない人たち、遥か彼方にいた異能者たちに会えた。


「遥か彼方」に行き着くことを望み、旅に生きる坂入氏ならではの名言だと思います。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします


at 20:38, 浪人, 本の旅〜日本

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