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『いやげ物』

いやげ物
いやげ物
みうら じゅん

 

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評価  ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください

この本は、日本各地の観光地で売られている、もらってもちっともうれしくないみやげ物、略して「いやげ物」をみうらじゅん氏が収集し、18のカテゴリーに分類して解説したものです。

小坊主が木魚にもたれて居眠りしている人形「甘えた坊主」シリーズ、ド派手で無国籍な掛け軸「ヘンジク」、城やタワーの金色プラスチック土産「金プラ」、無節操な形の栓抜き「ヘンヌキ」、ユーモアを履き違えたような湯飲み「ユノミン」、貝殻で作られた奇怪な造形物「プリ貝」、そして全国各地のみやげ物屋を席巻する謎の鉛筆立て「二穴オヤジ」……。

日本人なら誰もが一度は目にし、時には思わず買ってしまったこともある、「いやげ物」の数々が次々に登場し、その一つ一つにみうら氏のツッコミが添えられています。

しかし、この本が恐ろしいのは、笑いながらページを繰っているうちに、なぜか自分もこれらの「いやげ物」を集めたい衝動に駆られ始めるということです。

収集されたものに「金プラ」とか「ユノミン」という巧妙なカテゴリー名がつけられ、美しく並べられると、そこに何か魔力のようなものが発生するのです。どんな人間の中にもある、コレクター心理がくすぐられるのです。

「いやげ物」のはずだったのが、ズラッと並ぶことによって、観光地ごとの微妙なバリエーションや共通点が浮かび上がってきて、研究意欲が刺激されるというか、もっといろいろ見てみたいという欲求が湧いてきてしまうのです。

特に「甘えた坊主」シリーズは、仏教の伝統的なモチーフと関係があるのか、似たような造形が中国・韓国・台湾・タイにまで広がりを見せており、「集めがい」もありそうで、なかなかあなどれないものがあります。

しかし、一方で、本書の最後に出てくる「二穴オヤジ」シリーズには、何か笑ってばかりもいられない、ヒンヤリとしたものを感じます。

木片に鉛筆を立てるため(?)の二つの穴が開いたベースの上に、小さな老人の人形と、観光地名をスタンプした立て札が立っているというのがその「基本形」なのですが、これはそれぞれの「パーツ」を取り替え、地名のスタンプを替えれば無限にバリエーションが作り出せ、全国どこの観光地でも売れるという恐ろしいものです。

これをコレクションしようとすれば、みうら氏のように泥沼にハマるのは当然ですが、それと同時に、この「二穴オヤジ」が、今の日本の観光地をめぐる状況を象徴しているような気がして、暗然とした気分になってしまうのです。

観光地なら、どこへ行っても金太郎飴のような宿と食事とサービスとおみやげが用意されていて、それはそれで便利なのですが、その土地ならではの個性的なものがすっかり薄められてしまっているような気がするのです。「二穴オヤジ」は、そんな規格化された観光地の姿を映し出しているのではないでしょうか?

まあ、このあたりは私の妄想でしょう。この本の本来の趣旨は、そういう変なことを考えずに、純粋に「いやげ物」の放つトンデモ感を楽しむことだと思うので……。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします

 

at 19:01, 浪人, 本の旅〜日本

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