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「写真が撮れない」症候群(2)

「写真が撮れない」症候群(1)へ

前回、フィルム式カメラ全盛期に、長旅でいろいろ苦労したという話を書きました。

現在、デジカメが普及し、かさばるフィルムやプリントの問題、現像コストの問題が解消したことで、以前よりもさらに気軽に、旅の瞬間を撮り歩くことができるようになっています。

しかし、前回も少し触れたように、私が旅先で次第に写真を撮ることができなくなったのは、そうした費用や手間の問題からばかりではないような気がするのです。

今回は、その理由をもう少し考えてみます。

旅に出た当初は、何をするにも新鮮だし、物珍しさもあって、目につくものをあれこれ撮影しては楽しんでいたのですが、何カ月も過ぎると、やがて一種の倦怠期に入るというか、旅の風景への感動が薄れてきます。

美しい観光名所でも、同じくらい美しい場所を日替わりで見ていれば、それが当たり前になってしまうし、最初のような劇的な感動を覚えなくなります。当然、シャッターチャンスを感じる瞬間も少なくなります。

そして、旅の風景に感動を覚えなくなるのと同時に、現地で生活している人々を「被写体」と見なすこともできなくなってしまうのです。

旅の感動が薄れるということは、別の言い方をすれば、自分が旅の雰囲気になじみ、旅の日々が「日常」になり始めることでもあります。

実際には旅行先の言葉もしゃべれないし、現地社会の知識もほとんどないのですが、土地の空気になじむというか、そこが見知らぬ場所だという感覚もなくなってきます。旅人ではなく、そこで前から暮らしているような気分にさえなってきます。

そうなると、日本で暮らしていたときの自分がそうであるように、道行く人に気軽にカメラを向けられなくなってしまうのです。

日本なら、道行く個人にいきなりカメラを向けるのは失礼なことだし、そういうことはマナーとしてやらないはずです。もしも近所を普段着で散歩しているとき、外国人がいきなり自分にカメラを向けてパシャパシャとシャッターを切ったりしたら、普通の人はたじろいでしまうだろうし、次の瞬間、「何て失礼な奴だ!」と腹が立つに違いありません。

仮に「写真を撮っていいか?」と相手から聞かれたとしても、見知らぬ人に素直に写真を撮らせる気になるでしょうか? 人によっては、全く気にしない人もいると思いますが、私なら、通りすがりの人にいきなり頼まれても断ると思います。

そう考えると、今まで私が気軽な気持ちで現地の人にカメラを向けていたのが不思議に思えてきます。

ひょっとしてそれは自分のことを、現地の人たちとは違う、何か特別な存在だと思い込んでいたからで、彼らを、まるで別世界の「珍しいモノ」であるかのように見ていたからではないでしょうか?

現地に滞在する時間が長くなり、彼らの世界になじんだ頃になって、私は、彼らもまた、自分と同じように感じ、同じように考える、同じ人間なのだという、当たり前の事実に初めて気がついたのです。

だとすると、今までも私のことを、外国人だからと大目に見てくれていただけで、実は彼らはけっこう迷惑していたのではないでしょうか?

そうなるともう、気楽に人にカメラを向けられなくなります。せっかくカメラを持ち歩いても、風景やモノのような無難な写真しか撮れなくなるのですが、そういう写真は、現像してみてもあまり面白くないのです。

現地で親しくなった人となら、一緒に記念写真を撮ることもあるし、そういうシチュエーションなら撮影に何の気兼ねもいらないのですが、親しくなると、今度はその人物の写真を撮ろうなどと思わなくなります。

彼らの写真を撮るより、カフェでお茶を飲みながらカタコトの英語で話したり、現地の言葉を教えてもらったりしている方がずっと面白いし、そういうことに熱中している時には、写真を撮ろうというアイデアも浮かんでこないのです。

もっとも、彼らの写真を撮ると、写真を送ることを約束させられてしまうので、後日、皆に手紙を書くはめになります。それが面倒だという理由もあるかもしれませんが……。

デジカメの普及により、旅先で思う存分写真を撮れる時代にはなりましたが、このようなわけで、私の場合はカメラを持っていても写真を撮れないような気がするのです。

もちろん、これはあくまで私個人の場合です。

プロとして、人に何かを伝えるためにカメラマンの仕事を選んだ人なら、人を撮影するに当たって、きちんとしたポリシーを持っているだろうし、プロでなくても、自分なりの理由から人を被写体にして写真を撮る人もいるでしょう。

それに、国や状況によっては、むしろ現地の人から「写真を撮ってくれ」と頼まれることもあります。私個人が見知らぬ人に写真を撮られたくないと思っていても、世界中の全ての人がそうだというわけではありません。

旅先で写真を撮る方は、このあたりの問題はどう解決しておられるのでしょうか? 私と同じように、旅先で写真を撮れなくなってしまった人はいるのでしょうか? もしよろしければ、皆様のご意見を頂ければと思います。

at 20:09, 浪人, 地上の旅〜旅全般

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