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観光地の欧米化騒音化現象

バックパッカーとしてアジアの国々を旅していると、国や地域によって異なる文化や生活習慣に触れ、「旅」を実感することができる一方で、どの国の観光地でも、「バックパッカー文化」ともいうべき共通の現象が広がっていることに気がつきます。

世界的に有名な観光地で、パックツアーを含めた大勢の観光客が訪れる場所ではそれほど目立たないのですが、少し辺鄙な田舎で、外国人といえばバックパッカーばかりというような場所では、バックパッカーと地元の商売人が醸し出す、無国籍で独特の雰囲気が広がっていて、それがどこの国でも共通のパターンを示しているのです。

小さな町や村では、旅行代理店やカフェを兼ね備えたシンプルなゲストハウス、ネットカフェ、雑貨屋、みやげ物屋が軒を連ねる「バックパッカー・ストリート」が形成されていることが多く、主に欧米諸国からのバックパッカーが一日中たむろしています。

中でも目立つのは、大画面のプロジェクターか大型テレビを設置したオープン・カフェで、昼間からハリウッド映画のビデオを大音量で流し、通行人を呼び込んでいます。派手な爆発音や機関銃の音、登場人物の悲鳴などが周囲に響き渡り、のんびりとした田舎の雰囲気にはあまりにも不釣り合いな気がするのですが、いつ見ても店はけっこうな数の欧米人で繁盛していて、客はビールを飲んだりタバコを吸ったりしながら、気だるい表情で画面をボーッと眺めています。

店が繁盛するので、金儲けのチャンスを窺っている地元の人にとっても、それが格好の「ビジネス・モデル」になるのでしょう。周囲には同じようなスタイルの店が続々と作られていくことになります。欧米人バックパッカー達が、行く先々でおいしいパンやケーキの店、欧米風の食事ができるカフェ、本格的なピザの店などを開発していったように、同じことがこのビデオ・カフェでも繰り返されているのです。

私は騒音が苦手だし、英語のヒアリング能力が不足していて、映画のストーリーを追うこともできないので、そういう店で食事をすることはほとんどないのですが、欧米からのバックパッカーが日中からカフェにたむろして、大音量のビデオを見ながら時間をつぶす気持ちも、分からなくもないような気がします。

一口にバックパッカーといっても、いろいろなタイプの旅人がいます。見かけは同じようにバックパックを背負っていても、学校や会社の休みに旅行を楽しむ人もいれば、仕事をやめて諸国放浪の長い旅に出ている人もいます。

短期の旅行者は、日本人に限らず、急いで各地を周遊しようとする傾向がありますが、移動や観光で動き回るため、ボーッとできるような自由な時間自体があまりありません。また、翌日のバスが早朝発だったりするので、どうしても寝るのが早くなります。予定の詰まった旅をしているかぎり、暇を持て余す心配をする必要はありません。

しかし、日程を定めず、先の予定もないような旅をしている人間にとっては、旅に出て何カ月もすると、次第に観光などどうでもよくなってくるし、移動のスピードも鈍ってきます。次にどこに行こうかなどと考えるのも面倒になり、どこか居心地のいい街を見つけると「沈没」してしまうようになります。

しかし、辺鄙な田舎の街で沈没してしまうと、ほとんど娯楽らしい娯楽がありません。気の合う旅人同士で一日中雑談していることもできますが、毎日同じ相手では飽きてくるし、そういう仲間がいないこともあります。本でも読もうと思っても、活字中毒の人ならともかく、本を読むのにはそれなりにエネルギーが要るし、田舎では読みたい本が手に入らない可能性の方が高いでしょう。散歩するには街は小さすぎるし、一人で考えごとなどしていたら、すぐに煮詰まってしまいます。

かくして、元気よく観光するほどのパワーはなく、旅人同士でおしゃべりをする気にはならず、一人で退屈をやりすごすことにも耐えられなくなった人間が、何となく吹きだまるような感じで、ビデオ・カフェに引き込まれていくのではないでしょうか。彼らの表情は映画に集中している感じではなく、とりあえず酒を飲んで粘りながら、眠りにつくまでの数時間を何とかやり過ごそうとしているように見えます。

頭がガンガンするほどの大音量なのは、頭の中を駆けめぐる思考を追い払うためなのでしょうか。殺風景な宿の部屋に一人でいたら、これからの旅のことや、国に帰ってからの生活のことなど、いろいろ嫌なことを考えてしまいそうなので、騒音に身を浸し、そうしたネガティブな思いをつかの間でも忘れたいのかもしれません。

もっとも、これは私の勝手な想像です。もちろん、ただ単に、好きな映画や本国で見逃した映画を見るのを楽しみにやってくる客もいるでしょう。それに、浮かない表情をしたバックパッカーたちに直接聞いてみたところで、彼らがカフェにやって来る本当の理由などわからないのかもしれません。

しかし、理由はともあれ、バックパッカーが立ち寄るアジアの田舎町には、こうしたカフェが立ち並び、年を追うごとに「バックパッカー・ストリート」は喧騒に包まれつつあります。サブカルチャーとしての「バックパッカー文化」に浸りたい人はともかく、静かでのんびりとした辺境を期待してアジアの田舎を訪れた旅人にとっては、それはせっかくのムードをぶち壊しにしてしまう、やっかいな存在に違いありません。

at 19:41, 浪人, 地上の旅〜旅全般

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