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『バンコク下町暮らし』

評価 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください

この本は、フリーライターの下川裕治氏が、1992年の10月から約半年のあいだ、タイ語を学ぶために家族でバンコクに滞在した時の体験を描いたものです。

下川氏は、アジア放浪の旅というテーマでは何冊もの著書があり、その方面では非常に有名な方ですが、現在のアジアブームが起きる以前に、タイ語を学ぶために仕事を休み、一家でタイに住んでしまうという行動は、さすがに個性的です。また、本書でも、いわゆる駐在員の視点ではなく、バックパッカー的な視点からバンコク生活を描いているので、細かい部分に至るまで、私も共感をもって読むことができました。

本書では、部屋探しから始まって、バンコクの生活事情、語学学校のこと、交通事情、タイに浸透する日本文化、幼稚園でのエピソード、お手伝いさんのこと、アパートの住人のことなど、さまざまな話題が綴られています。

下川氏一家が滞在したのは、日本企業の駐在員家族が住むスクムビット通り周辺ではなく、戦勝記念塔 (アヌサワリー) からパホンヨーティン通りを北東に進んだところにあるソイ・アーリー (現在のBTSアーリー駅周辺) でした。

プール付きの広いアパートに一家四人とお手伝いさんで住み、夫婦でタイ語の学校に通い、子どもは地元の幼稚園に通わせ、半年の間に何度か海辺のリゾートにも出かけるという暮らしは、月に20万円程の費用がかかったそうで、もちろん当時のタイ庶民の暮らしのレベルをはるかに超えています。

現地での生活水準や、住んでいたアパートの環境などを考えると、本書の『バンコク下町暮らし』というタイトルは正確ではないのかもしれません。しかし、「バンコクに暮らすのなら、タイ人たちの世界に入っていたかった」という下川氏は、「日本人村」のようなスクムビット界隈からは距離を置き、三歳と一歳の娘たちを地元の幼稚園に通わせ、夫婦でタイ語を学び、タイ人のように食事をし、タイの友人・知人とつき合うという「タイ三昧」の暮らしをしています。

もちろん、そうした暮らしをするにはそれなりの苦労があったはずだし、実際に、娘たちが病気になった出来事など、滞在中のさまざまなアクシデントも本書に記されているのですが、下川氏夫妻は異文化に対してある程度の免疫があるのか、カルチャーショックやアクシデントについても、意外に淡々とした文章で記されています。

ただ、一家で異国に暮らすとなると、生活に関する実務的な問題が出てくるだけでなく、子供の教育のことや、仕事のことなど、家族の長期的な見通しに関する問題を避けて通るわけにはいきません。本書には、日本を離れてアジアの街で暮らしたいという思いと、仕事や子供のことを考えてそれを思いとどまろうとする気持ちの間を揺れ動く、下川氏の心の葛藤も描かれています。

ちなみに、以前にこのブログで紹介した『マンゴーが空から降ってくる』では、1980年代以降のタイの田舎の暮らしが描かれていましたが、この本では1990年代初めの、高度成長に沸くバンコクの生活が描かれています。両者を読むと、タイの都会と田舎では事情が違うのも感じられるし、一方で、タイ人の考え方や行動パターンの共通点も見えてきて、非常に興味深いものがあります。

この本が書かれて10年以上が経ち、バンコクはさらに変わっているはずです。今では仕事以外でバンコクに長期滞在する日本人も大勢いることでしょう。現在のバンコクに暮らすとどんなものが見えてくるのか、そういう本があれば目を通してみたいと思いました。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします

at 20:52, 浪人, 本の旅〜東南アジア

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