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『行かずに死ねるか!―世界9万5000km自転車ひとり旅』

文庫版はこちら

 

評価 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です

バックパッカー・スタイルの旅をしていると、各国の安宿でたまにチャリダー(チャリ=自転車で旅をする人)に出会うことがあります。

バックパッカーの旅にもそれなりのしんどさはありますが、チャリダーの旅の苛酷さに比べれば足元にも及びません。彼らから直接話を聞いたり、噂話を耳にするたびに、自分にはとてもマネのできない世界だと、畏怖の念を覚えていました。

今回、ふと思いついて、チャリダーの書いた本を初めて読んでみました。

本書の著者、石田ゆうすけ氏は、1995年7月にアラスカからスタートし、南北アメリカ大陸、ヨーロッパ、アフリカ大陸を縦断した後、ユーラシア大陸を横断し、途中一度も帰国せずに、7年半かかって自転車による世界一周の旅を成し遂げました。

この本では、その長い旅を駆け足で振り返りながら、旅の途上で出会った人々、印象に残るエピソード、そして、旅を通じて変わっていく石田氏の心の軌跡が語られています。

とにかく石田氏の文章がすばらしいと思います。ユーモラスで軽い筆致なので、サクサク読めるのですが、語りのツボはしっかり押さえられていて、笑いながら読んでいるうちに、いつの間にか彼の世界に引き込まれています。

そして、旅のエピソードの数々にホロリとし、彼のシンプルで力強いメッセージに思わず共感してしまいます。本当に、いい旅してるなあ、と思いました。

時にはあまりにもストレートすぎて、「ベタ」に感じることもありますが、むしろそれがこの本の魅力なのかもしれません。

今の日本で生活していると、シンプルで真っ直ぐな生き方を貫くことに対して、何となくしらけた目で見てしまいがちなところがありますが、長い旅を乗り越えてきた石田氏の文章には、そんなひねくれた見方をはね飛ばすような、健康的な強さと自信が溢れているのを感じます。

それは、毎日のように自転車をこぎ、少しずつ距離を稼ぎながら、長い時間をかけて自分の足で世界を周るという、忍耐そのもののような日々や、数え切れないほどの人々との出会いと別れ、言葉や文化の生み出す多様な世界を体験することを通じて、分厚い経験を積み重ね、その結果として、この世界に深く根を張ったことからくる力強さではないでしょうか。

本書は石田氏の7年半の旅のハイライトだけをまとめた総集編といった感じで、この一冊の中には収まりきらない思いが行間から溢れているように感じます。もっと他にも語りたいエピソードや、伝えたいメッセージがいくらでもありそうです。

また、石田氏の他にも、世界一周や、大陸縦断・横断を成し遂げたチャリダーは日本にたくさんいるはずですが、帰国後、本を書く人はごくわずかで、多くの場合、彼らの旅は身近な人々の間でしか語られることはないのでしょう。この本は、そんな彼らの思いも代弁しているような気がします。

もちろん、全てのチャリダーが石田氏のようなタイプの人間ではないでしょうし、本書では、自転車による旅の技術的な側面(装備品リストとか、パーツの補給、走行ルートや国境の越え方など)の細かい部分については、ほとんど触れられていませんが、この本を通じて、むしろもっと旅人の間に共通した思い、つまり、チャリダーたちの旅への情熱や、彼らの味わっている濃密な旅の時間が伝わってくるような気がしました。

読んでいると、激しく旅に出たくなる一冊です。
 

 


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします

at 19:16, 浪人, 本の旅〜世界各国

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