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『ヤバい経済学 [増補改訂版]』

スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー

Kindle版はこちら

 

評価 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください

真っ黒な表紙に加えて「ヤバそう」なタイトルに、ちょっと手に取るのをためらってしまいそうな本ですが、実際に読んでみると別に「トンデモ本」ではなく、けっこう真面目な内容であることがわかります。

私は経済学に関しては素人なので、経済学者というと、国家レベル、世界レベルの経済活動を説明したり予測したりできるような精密な理論モデルを考え出したり、何か普遍的な経済法則のようなものを探求しているのかと思ってしまうのですが、経済学者スティーヴン・D・レヴィット氏が興味を持っているのは「ごまかし、腐敗、犯罪」なのだそうです。

一見、経済学とは何の関係もなさそうですが、「インセンティブ」という観点から見ると、そこに経済学とのつながりが見えてきます。

 

 経済学は突き詰めるとインセンティブの学問だ。つまり、人は自分の欲しいものをどうやって手に入れるか、とくに他の人も同じものが欲しいと思っているときにどうするか、それを考えるのが経済学だ。


そう考えると、何とかして他人を出し抜いて、自分だけおいしい思いをしようというインチキや犯罪も、「インセンティブの暗黒面」として立派な研究対象になり得るわけです。

経済学の世界には、インセンティブに対して人間がどう反応するかを測るために開発されてきた統計的手法が揃っています。だから、信頼のおけるデータを見つけ、統計的な手法を適切に当てはめることができれば、人間活動の暗黒面に関しても、いろいろなことが見えてきます。

 

 道徳は世の中がどうあってほしいかを表すと言えるだろう―― 一方、経済学は世の中が実際にはどうなのかを表している。経済学は、他にも増して、計測の学問である。経済学は非常に強力で柔軟な手法を取り揃えているので、情報の山をかきわけ、何かの要因一つや要因全体が及ぼす影響をちゃんと探り当てることができる。


例えば本書では、1990年代のアメリカで犯罪が激減したのはなぜか、というトピックが取り上げられています。

これについては従来、好景気の影響によるものだとか、ニューヨークのジュリアーニ市長らによる画期的な取り締まり戦略のおかげだとか、銃規制の強化や、人口の高齢化によるものだなどと言われてきましたが、レヴィット氏らは、こうした従来の通念をくつがえします。

彼らは、懲役の増加や警官の増員、麻薬市場の暴落なども犯罪減少の要因であることは認めていますが、それ以上に、1970年代の中絶の合法化が最大の要因だという、意外な理由を明らかにしています。

これは、正直なところ、日本人にとっても何だか嫌な感じのする話ですが、中絶の可否が政治問題になっているアメリカでは、もっと感情的で、強烈な反応を引き起こしたようです。

レヴィット氏らがそう主張する根拠については、具体的に本書や彼の論文にあたっていただくとして、一言付け加えておきたいのは、彼らは別に中絶を合法化することが良いとも悪いとも言っていないということです。

彼らは単にデータの山を分析し、「世の中が実際にはどうなのか」を示してみせただけです。ただし、これは誰の目にも明らかなものではなく、彼らの示す論理的な筋道をたどることで初めて見えてくるものであり、ひょっとすると、彼らの分析が間違っているという可能性もあります。彼らの出した結論が適切であるかどうかは、読者それぞれが判断すべきことなのでしょう。

他にも、人間社会のダーク・サイドや日常生活に関する話題が盛り沢山で、経済学者の仕事を紹介するという本の割には面白く読めます。

なお、私が読んだのは、 [増補改訂版]の前の旧版です。[増補改訂版]は110ページの増量で、新しいトピックが追加されたほか、「犯罪と中絶合法化論争」のその後にも触れられているそうです。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします

 

 

 

at 19:01, 浪人, 本の旅〜人間と社会

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