このブログ内を検索
新しい記事
記事のカテゴリー
            
過去の記事
プロフィール
            
コメント
トラックバック
sponsored links
その他
無料ブログ作成サービス JUGEM
<< 旅の名言 「ヒッピーとは……」 | main | 『エグザイルス(放浪者たち)―すべての旅は自分へとつながっている』 >>

ピチャンの砂丘

シルクロードを旅していたときのことです。

中国のウイグル自治区、トルファン(吐魯番)の近くにピチャン(ゼン善)という町があります。特に見どころもない地味な町なのですが、ハミ(哈密)からトルファンに向かう途中で知り合った日本人留学生から美しい砂丘が見られると聞いて、一緒に立ち寄ってみることにしました。

シルクロードといえば砂漠、砂漠といえば地平線まで続く砂丘というイメージがありますが、実際にバスで移動をしていると、ゴツゴツとした荒野の風景が続くばかりで、童謡「月の沙漠」のような、絵に描いたようなロマンチックな光景に出会うことはほとんどありません。

もちろん、例えば敦煌の鳴沙山のように、美しい砂丘が見られるところもあるのですが、鳴沙山の場合、街からすぐに行けるためか、狭い砂丘エリアに大勢の観光客が群がっているし、砂の上は足跡だらけで、雰囲気に浸ることが難しかったりします。

ピチャンの砂丘も街の郊外にあるということなので、あまり期待はしていませんでした。

昼過ぎにピチャンに着き、陽射しが弱まるのを待って、夕方8時頃、市内バスに乗って街の南端にある「沙山公園」に向かいました。

入園料を払って中に入ると、公園らしい施設など何もなく、すぐに砂丘が広がっています。私たち三人の日本人のほかに客は誰もおらず、園内は静まり返っていました。視野いっぱいの砂丘に圧倒され、どちらに行けばいいのか分かりませんでしたが、とりあえず目の前の砂山の頂上まで上がってみることにしました。

夕暮れ時なので暑さはそれほど感じません。砂に足をとられながらゆっくりと登っていくと、風景はますます神秘的になっていきます。

何度も立ち止まって写真を撮ったりしているうちに、いつの間にか同行の二人は先に行ってしまい、私一人になっていました。最初の砂山を乗り越え、砂丘の間の窪地に降りてみると、周囲は360度砂丘だけになり、耳に入ってくるのは遠い鳥の声と微かな風の音だけです。

砂の表面には全く足跡はなく、人間社会はおろか、動物の痕跡さえも見当たりません。夕陽を浴びてオレンジ色に染まった美しい風紋となめらかな砂丘の稜線が、幻想的な雰囲気をかもしだしていました。

しばらく一人で砂漠の静寂を楽しんでから、別のさらに高い砂丘を登ったところで二人と合流しました。そこからは、街の南側に広がる無人の荒野がはるか彼方まで続いているのが見えます。それが街外れの風景だというのが信じられませんでした。

どうやらそこが「沙山公園」のビューポイントだったようです。私たちはそこで、地平線の向こうに夕陽が沈んでいくのを見守りました。

空気が少しヒンヤリとしてきたので靴を脱いでみると、砂はもう熱くはなく、サクサクとした感触が足に心地よく感じられます。私たちは子どものようにはしゃぎ、歓声を上げながら裸足で砂丘を駆け下りました。

公園の入口まで戻ると、売店でビールを売っていました。こんな場所では奇跡的なことに、ビールはギンギンに冷えています。三人で乾杯し、ビールをラッパ飲みしながら、このささやかな快楽を心ゆくまで味わいました。

at 20:17, 浪人, 地上の旅〜中国

comments(0), trackbacks(0)

スポンサーサイト

at 20:17, スポンサードリンク, -

-, -

comment









trackback
url:http://ronin.jugem.jp/trackback/304