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旅の名言 「旅人の相手をしてくれるのは……」

 それにしても、旅人の相手をしてくれるのは老人と子供だけだな、とベンチに坐ったまま私は思った。観光客を相手の商売をしている人たちを除けば、いつでも、どこでも、私たち旅人の相手をしてくれるのは老人と子供なのだ。しかし、それを悲しがってはならないことはよくわかっている。なぜなら、まっとうな仕事をしている大人たちに、昼の日中から旅人を構っている暇などあるはずがなかったからだ。


『深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン』 沢木 耕太郎 新潮文庫 より
この本の紹介記事

バックパッカーとして旅をすると、沢木氏のこの言葉を実感をもって理解することができます。

パックツアーのようにスケジュール上の制約がなく、自由な旅を楽しめるとはいえ、バックパッカーの前に現れるのは、旅行者相手の商売をしている人や、同じような格好をしたバックパッカーたち、そして暇そうな老人や子どもばかりです。

どんな国でも、「まっとうな仕事をしている大人たち」は忙しく、暇人の旅行者を相手にしている時間はありません。よほどのきっかけでもないかぎり、彼らは旅人の姿を横目に見ながら、足早に側を通り過ぎていくだけです。

知らない国に行って、そこで働く普通の人と知り合い、彼らがどんなことを考えて日々生活しているのかを知る、というのが旅の目的の一つだと考えるなら、これはなかなか達成するのが難しいことなのかもしれません。

もちろん、それは難しいとはいえ、不可能というわけでもありません。列車やバスで移動中、隣の席のビジネスマンと話をして意気投合するとか、屋台やパブでビールを飲んでいて、隣のテーブルにやって来た勤め人と話をすることもあるでしょう。インドならその辺をブラブラと歩いているだけで、好奇心旺盛なオッサンがいろいろ質問してくるかもしれないし、親切な人の多いミャンマーなら、地元の人があれこれ世話を焼いてくれるかもしれません。

でもやっぱり、バックパッカーが遭遇する人たちのほとんどは、旅行客ズレした商売人であり、時間を持て余している老人であり、失業してブラブラしているオヤジであり、好奇心旺盛な子どもたちなのです。

彼らが我々の相手になってくれるということは、我々を相手にすること自体が商売になるか、忙しく打ち込めるほどの仕事を何も持っていないということです。つまり、彼らは「普通の人々」ではないということになります。

そう考えると、バックパッカーが旅先の国で抱く印象というのは、意外に偏ったものなのかもしれません。ある国や街の印象というものは、そこで出会う人々によって左右されがちなものですが、バックパッカーの出会う人々の層が偏っていれば、当然そこから得られる印象も偏ってしまうはずだからです。

ビジネスマンが海外でもビジネスマンばかりと会っているように、暇人は海外でも暇人とばかり出会うということなのかもしれません……。


『深夜特急』の名言

at 19:10, 浪人, 旅の名言〜旅について

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