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『口語訳古事記 完全版』

評価 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります

本書は、古代日本の神話と歴史の書『古事記』の全文を現代語、しかも語り口調で訳すという冒険的な試みです。

訳者の三浦佑之氏は、語り部の古老が若者たちを前に昔語りをするという設定のもとに、老人の語り口調で『古事記』を訳しているのですが、用いられているのは、マンガやアニメでおなじみの「じいさんキャラ」に共通する、「〜じゃった」「〜よのう」という独特の言い回しです。

これが意外なことに、読んでみて全く違和感がないばかりか、ユーモラスで生き生きとした「じいさんキャラ」の力が、堅苦しいはずの古典を楽しい読み物として見事に甦らせています。「こんな方法があったのか!」と、読んでいて目からウロコが落ちる思いがしました。

語り部の古老は、あるときはとぼけてみせたり、またあるときはチクリと皮肉を言ってみたりと、なかなか複雑で味のあるキャラを演じてみせるのですが、そうした「語り部の独白」は、原文の流れを補ったり、本文のエピソードの意味を分かりやすく解釈するために、三浦氏が『古事記』本文に独自につけ加えたものです(そうした補足部分は、オリジナル部分と区別できるよう、すべて脚注で明記されています)。

また、詳細な脚注や解説にも、現在までの『古事記』研究の成果をふまえた上での、三浦氏自身の解釈が濃厚に反映されています。言ってみれば、本書は一定の意図と解釈のもとに編まれた「三浦古事記」とも言うべき作品で、読んでいく上でその点は注意しておく必要があると思います。

しかし、三浦氏がそうした大胆な試みを行った大きな理由は、『古事記』の、文字に書かれたテキストとしての側面よりも、『古事記』が抱えこんでいる「文字とは無縁な世界」、音声を通して世代から世代へと出来事を語り継いできた「語り」の営みという側面を強調することにあります。

そしてそれは、公の歴史書としてよりもむしろ、「神がみや英雄たちの活躍する空想冒険叙事詩」として、あるいは「哀しい恋物語や陰謀のうずまく戦さ語り」として、『古事記』を再生してみようとする試みです。

それは、一つの実験的な試みですが、今までになかったユニークで価値のある試みだし、実際に成功していると思います。

いわゆる「古典」の堅苦しさに挫折して、まだ『古事記』を読み通したことがないという方は、ぜひ本書を試してみてください。

なお、本書は文庫化(「神代篇」「人代篇」の2分冊)もされています。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします

at 18:53, 浪人, 本の旅〜ことばの世界

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