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ラサを呑み込む激流

10月9日深夜の「NHKスペシャル 激流中国「チベット 聖地に富を求めて」」(10月7日の再放送)を見ました。

2006年の青海チベット鉄道開通から1年、現在チベット自治区は空前の観光ブームに沸いており、今年の観光客数は300万人を超えるといいます。

それに伴い、かつての「秘境」ラサは大きく変貌しつつあります。ホテルの建設ラッシュが続き、商機を求めて内外のビジネスマンも押し寄せています。

番組では、四川省で成功した漢族の実業家が経営するラサの巨大ホテルを中心に、オーナーのパワフルな仕事ぶりと、激しい変化に翻弄されるチベット人の若者たちの姿が描かれているのですが、とにかく金儲け主義まる出しで突き進むオーナーの姿に、見ていて暗澹たる気持ちになりました。

彼はチベット文化を「売り」にして客を呼び込むため、ホテルではチベット人の若者たちに伝統芸能の歌や踊りを演じさせる一方、自らラサ近郊の村に出かけて民具や仏像・タンカ(仏画)を買いあさり、それをホテル内にくまなく並べて観光客に高額で販売しています。

しかし彼はそれだけでは飽き足らず、チベット仏教の法要を観光の目玉にしようと、宗教という政治的にセンシティブな領域にまで踏み込み、寺院と交渉してホテルへの出張法要を実現しようとするのです。

金にあかせてチベット文化を露骨に商品化していくその姿は、よくここまで撮影させてもらえたな、と驚くほどですが、オーナーが自らの考えや行動を隠そうともしないということは、そのことに躊躇する気持ちもなければ罪悪感も感じていないのでしょう。

こうした現象は、観光地化の常として世界中で起きていることであり、よくある話といえばそれまでなのかもしれないし、番組に登場するホテル経営者のギラギラした姿も、かなり極端な例であるのかもしれません。

それに、チベットが急速に消費社会へと向かっていくことは、いちがいに「悪」とも言い切れないでしょう。遊牧民として、あるいは痩せた土地を耕すことで生きのびてきたチベット人にとって、モノの溢れる都会は目に眩しく映るはずであり、現金収入と豊かさを求めてラサを目指し、時代の波に呑み込まれていく人々を責めることなど誰にもできないでしょう。

しかし、鉄道の開通によって観光客が一気になだれ込み、「中国流資本主義」の激流がラサを覆い尽くしていく状況は、そのスピードと破壊力において、私たちの想像をはるかに超えるものがあるのではないでしょうか。

以前に、このブログに「青海チベット鉄道(青蔵鉄道)の光と影」という記事を書きました。

今年の正月にNHKで放映された青海チベット鉄道を紹介する番組について、北京とラサが鉄道でつながるということが、チベット人社会にとってどういう意味をもっているのかという視点がないのではないか、というようなことを書いたのですが、今回の番組は、そうした視点のひとつを提供してくれるものだと思いました。

これからチベットがどう変わっていくのか、今はあまり明るい未来が見えてくるような気がしないのですが、今後も注意深く見ていたいと思います。

at 18:50, 浪人, テレビの旅

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