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『スピリチュアルにハマる人、ハマらない人』

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評価 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?

本書は、精神科医の香山リカ氏による、スピリチュアリズム批判です。

ウィキペディアによれば、スピリチュアリズムは「心霊主義」と訳されることもあり、「人間との交信可能な、人間等の死後の霊魂または霊魂の科学的証拠が存在することを信じること」です。

香山氏は、スピリチュアルに「ハマらない人」の立場からそれを批判しているのですが、読んでみるとやはりこういう議論にありがちなパターンで、「初めに結論ありき」という印象を強く受けます。スピリチュアリズムに対して否定的な自らの持論に当てはまりそうな事例や身近な体験をつなぎ合わせて、一冊の本にしたという感じです。

彼女は、ここ数年の日本のスピリチュアル・ブームを牽引する「カリスマ」たちとそのメッセージを簡単に紹介した上で、彼らの主張の底に流れるものは「圧倒的な自分中心主義」であり、お金や恋など、非常に個人的で現実的な問題とスピリチュアルなものが違和感なく結びついてしまっていると指摘します。

また、スピリチュアルに「ハマる人」たちが、社会や政治の問題には目もくれず、極端な内向き志向に陥っており、「科学的実証性」よりも、「楽しいかどうか」「希望を持てるかどうか」にばかり関心が向いていることを嘆いています。

確かに、現在のスピリチュアリズムの世界には、近代科学にあるような真偽の検証システムが働いていないため、「言ったもの勝ち」「何でもあり」みたいな傾向があり、発せられるメッセージは玉石混交、むしろ石の方が圧倒的に多いというのが現状かもしれません。

また、そうした多様性が商業主義と結びついたスピリチュアル・スーパーマーケット状態や、霊的な世界をかいま見た人が、自分の体験を特別視してエゴ・インフレーションを起こしてしまうなど、さまざまな問題や危険があることも確かです。

しかし香山氏は、そうした問題点ばかりに注目し、日本でのブームの一部の側面だけ、多様なメッセージの一部だけを取り出して、それでスピリチュアリズム一般を批判しているように見えます。そして本書では、スピリチュアリズムのもつ歴史的、世界的な広がりについてはほとんど触れられていません。

また、本書で展開されている批判は、あまり痛烈なものではなく、どこかモヤモヤとして歯切れの悪いところがあります。

香山氏自身、専門である精神病理学が、ある意味では「目に見えないもの」に関わる仕事であることは認めているし、若い頃一度ユング心理学にハマったことがあり、その東洋的・オカルト的な要素が受け入れられず、結局訣別したというエピソードも綴られています。

彼女自身、科学者・文化人として、一線を「踏み越える」ことができない立場にいる一方で、スピリチュアルな世界と全く無縁とも言い切れない、自らのあいまいな立場を自覚しているのではないかと思います。たとえ批判するつもりであっても、スピリチュアルな世界に本腰を入れて向き合えば、ミイラ取りがミイラになる危うさがあることを、うすうす感じているのかもしれません。

この本で、スピリチュアリズムの本質にまでは踏み込まず、あくまで「ラインの一歩手前から眺めたスピリチュアルな世界」に触れているだけなのは、そんな事情もあるのかもしれませんが、やはり多くの読者には、とても中途半端な印象を与えるのではないでしょうか。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします

 

 

JUGEMテーマ:読書

 

 

at 19:04, 浪人, 本の旅〜人間と社会

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