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『憲法九条を世界遺産に』

Kindle版はこちら

 

評価 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください

本書は、中沢新一氏と爆笑問題の太田光氏による、日本国憲法をめぐる異色の対談録です。

「憲法九条を世界遺産に」という、笑えるアイデアが中心テーマとなっていますが、二人の対談に耳を傾けてみると、このアイデアがあながち荒唐無稽な冗談でもないような気がしてきます。

それは日本国憲法が、「日本人の、十五年も続いた戦争に嫌気がさしているピークの感情と、この国を二度と戦争を起こさせない国にしようというアメリカの思惑が重なった瞬間に、ぽっとできた」日米合作の「無垢な理想憲法」(太田氏)だからという理由もありますが、それだけではありません。

中沢氏は、憲法九条の戦争放棄の宣言に、近代的な政治思想に基づいた他国の憲法とは異質な原理が息づいていることを指摘します。

国家が戦争を放棄するとは、まるで生命体が自らの免疫機構を解除してしまうようなものですが、それに似た「免疫解除原理」が見いだされるものといえば、新しい生命を育む母体と、神話の世界です。

 

 つまり、憲法九条に謳われた思想は、現実においては女性の生む能力がしめす生命の「思想」と、表現においては近代的思考に先立つ神話の思考に表明されてきた深エコロジー的「思想」と、同じ構造でできあがっていることになる。どこの国の憲法も、近代的な政治思想にもとづいて書かれたものであるから、とうぜんのことながら、そこには生命を生むものの原理も、世界の非対称性をのり越えようとする神話の思考なども、混入する余地を残していない。ところが、わが憲法のみが、その心臓部にほかのどの憲法にも見いだされない、尋常ならざる原理をセットしているのだ。
 日本国憲法が「世界遺産」に推薦されてしかるべき理由は、そこにある。


そして、こうした「尋常ならざる原理」の系譜をたどっていくと、日本国憲法を近・現代史や政治思想の枠組みでとらえるだけでは見えない、もっと深く大きな人類史の流れのようなものが見えてきます。

 

アメリカ先住民の思想が、建国宣言に影響を及ぼし、その精神の中のかすかに残ったものが日本国憲法に生きている。それが日本民族の精神性と深い共鳴をもってきた。そう考えれば、日本国憲法のスピリットとは、一万年の規模を持った環太平洋的な平和思想だといっていい。


こうした議論は、いわゆる護憲派・改憲派による従来の議論とは全く異なる視点に立っているので、もしかするとピンとこない人も多いかもしれません。また実際問題として、こうした視点が現実の政治的な論争の中でどれだけ意味のある貢献ができるかもよく分からないのですが、私個人としてはとても面白いと感じました。

二人の対談そのものは、あまり噛み合っているとは言えず、議論が深まっていく感じはしないのですが、似たもの同士のようなやんちゃな二人が繰り出す刺激的な発言の数々は、読んでいてワクワクします。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします

 

 

JUGEMテーマ:読書

 

at 18:57, 浪人, 本の旅〜人間と社会

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