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『共時性(シンクロニシティ)の宇宙観 ― 時間・生命・自然』

評価 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります

本書は、スイスの心理学者カール・グスタフ・ユング氏が提唱した共時性(シンクロニシティ)の概念が、人類の思想史の中でどのような位置を占めているのか、ユングの思想と東アジアの伝統的な思考様式とのかかわりを解説するとともに、近代合理主義の行き詰まりを克服し、新たな自然観と人間観の枠組みを創りあげていくうえで、共時性の概念がどのような役割を果たし得るのか、その手がかりを示そうとする試みです。

 

 

 ユングは共時性の概念を、中国哲学の源流である『易経』の思想にもとづいて提唱している。易の基本原理は、人間と自然の間の神秘的共感の体験にもとづいている。この思考様式は、古代から近代に至る中国哲学史の全局面をつらぬく伝統になっていると言っていいであろう。そればかりでなく、自然との心理的共感の体験は、理論的思索の問題であるよりも前に、全人格的な主体的実践の課題である。この問題の波及する範囲は、宗教や哲学から医学や武術・芸道など種々の身体技術、さらに人事や自然とのかかわりに至る広い諸分野に及んでいる。ユングは、共時性の理論を単に思想史の過去を回顧するために提起したのではない。彼は、その生涯にわたって研究を重ねた心理学の臨床的経験と思索とをふまえて、現代の思想と科学の世界に対してその意味を問いかけたのである。

 


本書を読むと、共時性という概念が、いわゆる「虫の知らせ」や「信じられないような偶然」といった不思議な現象を説明する怪しげな理屈というレベルを超えて、近代科学の枠組みを根本から問い直すような巨大なインパクトを秘めているということがよく分かります。

因果性の原理を前提とする近代科学が、私たちの生活を豊かにすることに大きく貢献してきたことは疑いのない事実だとしても、共時性の原理というもう一つの視点に立ってみることで、因果性の原理が相対化され、それがリアリティを把握する唯一絶対の方法ではないことが分かるのです。

ただ、上の引用にもあるように、東アジアの伝統では、「自然との心理的共感の体験は、理論的思索の問題であるよりも前に、全人格的な主体的実践の課題」でした。理論云々よりも、まずは「人間と自然の間の神秘的共感」を実際に体験することが重視されてきたわけです。

共時性についても、多くの人にとっては、それを知的に納得のいくように説明しようと試みる以前に、まずはそれを実際に体験し、一人ひとりがそこに「人生を生きることの価値や意味」とのかかわりを見出すという側面の方がより重要であるように思えます。

その意味では、すでに共時性の原理を認め、それにかかわる何らかの実践に踏み出している人にとっては、アカデミズムの世界で共時性の原理が広く受け入れられ、今後も知的な検討が加えられるかどうかは、それほど重要な問題ではないのかもしれません。

そうした人にとっては、例えば以前に紹介したフランク・ジョセフ氏の『シンクロニシティ』や、ジェームズ・レッドフィールド氏の『聖なる予言』など、いわゆるスピリチュアル系の本の方が、内容的にさらに踏み込んでいるという点で面白いだろうし、実践上の参考にもなるのではないかと思います。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします

 

 

 

 

 

JUGEMテーマ:読書

 

 

 

at 18:48, 浪人, 本の旅〜共時性

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