このブログ内を検索
新しい記事
記事のカテゴリー
            
過去の記事
プロフィール
            
コメント
トラックバック
sponsored links
その他
無料ブログ作成サービス JUGEM
<< 『世界の日本人ジョーク集』 | main | 『アジアの弟子』 >>

旅の名言 「放浪の旅に対する意気ごみを……」

 皮肉なことではあるけれど、放浪の旅に対する意気ごみを測るリトマステストは、旅の中にではなく、旅を実現させるための自由を得ようとする過程にある。


『旅に出ろ! ― ヴァガボンディング・ガイド 』 ロルフ・ポッツ ヴィレッジブックス より
この本の紹介記事

放浪の旅(ヴァガボンディング)へのガイドブック、『旅に出ろ!』からの一節です。

長い旅をしたことのある人ならお分かりだと思いますが、旅を長く続けることそれ自体には、別にそれほどの困難は感じないことが多いし、特別なテクニックが必要なわけでもありません。
旅の名言 「一年くらい旅を……」

私自身の体験からいっても、たぶん旅の中で一番の試練と感じるのは、旅の始めと終わり、つまり、旅に出るという決意を実現させるまでのプロセスと、一度始めてしまった旅をどうやって終わらせるかというタイミングの問題だと思います。

旅の終わりの問題は、沢木耕太郎氏のベストセラー『深夜特急』でも大きなテーマになっているし、それについては別の機会に触れたことがあるので、今回は、旅立ちのプロセスについて考えてみたいと思います。
旅の名言 「やがてこの旅にも……」

放浪の旅への憧れは、その強度を別にすれば、たぶんどんな人の心にも芽生えることがあるはずです。

それは、ふとした思いつきのまま、自然に消えていってしまうことがほとんどでしょうが、人によってはそれが頭にこびりついて離れず、その手の本を読んだり、旅人の話を聞いたりして、どんどん旅への憧れを膨らませてしまうようなこともあるかもしれません。

しかし、学業や仕事を中断したり、あるいは身の周りの全てを清算した上で長い旅に出るという人は、実際のところほとんどいないのではないでしょうか。現実に長期にわたって世界を放浪している人の数は非常に限られているという事実が、放浪への憧れと現実との間の落差の大きさを物語っているように思います。

とはいえ、旅に出るという物理的な行動だけをとってみれば、それは別に難しいことではありません。数カ月、あるいは数年にもわたるような長い旅に出る人も、その表面的な行動だけを見れば、海外出張のビジネスマンや休暇を楽しむ観光客と全く同じで、航空券の手配をし、出国手続きをし、飛行機に乗り込んで海を渡るだけです。

大変なのは、出発に至るまでの間に、今まで続けてきた生活のすべてを見直し、放浪の旅という、これまでとは全く違うスタイルの生活を始めるための準備を着々と進めなければならないということなのです。

例えば、長い旅を夢見るだけでなく、それを実行するには、現実問題としてある程度の資金が必要になります。もし手許にそれだけの金がないなら、自らの手で稼ぎ出すしかありません。働いても金の残らない生活をしているのなら、出費を切り詰めて少しずつ貯金していかなければならないし、学生ならアルバイトで金を稼ぐ必要があります。

放浪というとロマンチックな響きがありますが、実際にそれを実現するためには、ある程度現実的になり、目標に向かって計画的にプロジェクトを進めていくような態度も必要になるのです。

そして、いざ旅の資金が用意でき、旅立つ決意が固まったとしても、次なる試練が待っています。

数カ月以上日本を離れるつもりならば、当然会社は辞めざるを得ないし、学校なら休学するか退学しなければならないでしょう。もちろん、一度会社や学校を辞めてしまったら、その後何があったとしても、すべてを元に戻してやり直せるほど世の中は甘くありません。

また、自分の周囲の人々にも、長い旅に出ることを告げる必要があるでしょう。一緒に旅に出るのでもなければ、付き合っている恋人とは別れることになるかもしれないし、すでに家庭をもっている人なら、さらに大きく複雑な問題に直面することになります。

それに、旅の間、これまで住んでいた部屋をそのままキープしておくのかといった問題や、役所や公共サービスへの各種届け出など、細々とした現実的な問題も、きちんと解決しておく必要があります。

それだけのことを実行していく過程では、当然周囲からの心配や反対もあるだろうし、自分自身の中でも、これから始まる旅やその後の人生について、ほとんど恐怖に近いような不安が心をよぎるはずです。

当然、こうした不安や数々の現実問題のことを想像しただけで嫌になり、自分にはとても無理だと、放浪の旅を早々に断念してしまう人もいるだろうし、旅に出る決意まではしたものの、準備の途中で障害を乗り越えられず、結局出発に至らない人も多いのではないでしょうか。

そういう意味で、長い旅に出るということは、さまざまな障害を一つひとつクリアーし、周囲をそれなりに説得し、自分自身の心の葛藤をくぐり抜けた上での旅立ちであり、実際のところ、出発にこぎつけるまでの段階で、すでに自らの生き方を変えるという大仕事を成し遂げていることになるのです。

『旅に出ろ!』の著者、ロルフ・ポッツ氏は、そんな奮闘のプロセスを「旅を実現させるための自由を得ようとする過程」であると美しく表現していますが、これは人によっては人生を賭けた血みどろの闘いそのものになってしまうかもしれません……。

旅に出る前に、こうした形で何度もその人の意気込みが試され、その試練を乗り越えた人だけが、実際に長い旅を始めることができるのです。言ってみれば、それは放浪への一次試験みたいなもので、あいまいな気持ちの人、準備の足りない人は、出発前の段階でふるい落とされてしまうというわけです。

もちろん、これは理屈の上の話です。

実際には、こうした厳しい「一次試験」を全ての旅人がくぐり抜けるわけではなく、特に20代前半くらいまでの若い人なら、あまり悩んだり考えたりせずに、わずかな金と勢いだけで旅に出てしまう人もけっこういるのでしょう。

それでもやはり、一般的に考えるなら、旅の出発までのプロセスは、旅の最初にして、ある意味では最大の難関だと言うことができるのではないでしょうか。


旅の名言 「いつかいつかと……」
旅の名言 「動き出せば……」


JUGEMテーマ:旅行

at 18:40, 浪人, 旅の名言〜旅の予感・旅立ち

comments(0), trackbacks(0)

スポンサーサイト

at 18:40, スポンサードリンク, -

-, -

comment









trackback
url:http://ronin.jugem.jp/trackback/421