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『無境界の人』

評価 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります

これは、世界の「カシノ」を舞台に、自らの才覚だけを頼りに生きるギャンブラーたちの物語です。

オーストラリアを拠点に世界中の賭場を攻める主人公の「わたし」は、23年もの間「常打ち賭人」として生き延びてきた筋金入りのギャンブラーです。

ある日「わたし」は、ゴールドコーストでひとりのヤクザと出会い、以来何度もカシノで顔を合わせるようになります。二人は親しくなり、やがて「わたし」は彼に「牌九(パイガオ)」を教えることになるのですが……。

このストーリーが、森巣氏自身の体験に基づく事実なのか、それともフィクションなのかはよく分かりませんが、その辺はあまり詮索せず、純粋なエンターテインメントとして楽しめばそれでいいのかもしれません。

森巣氏は博奕のことを、暴力を介在させない「合意の略奪闘争」だといいます。そんな世界を生き抜いてきただけあって、物語の随所で語られる彼の博奕の哲学は、シンプルでウィットに富んでいながら、どこか凄みを感じさせます。

ストーリー展開の方もシンプルなのですが、ギャンブラーの心理描写、特に「チャーリー・ディックスの法則」を応用して大勝負を挑む場面の描写にはリアリティと迫力があって、ギャンブルに詳しくない私でも充分楽しめました。

ところで森巣氏は、この本の中で、日本国内で数多く流通する「日本人論」や「日本文化論」というものを、手厳しく批判しています。こうした議論の前提となっている「日本」あるいは「日本人」というものを突き詰めていくと、そのような実体はどこにも存在しないからです。 

彼は、私たちが日々体験している現実そのものから目を背け、想像の中の、虚構にすぎない日本人像にしがみついているような人々を、痛烈にこき下ろすのです。

たしかに、その議論の仕方はぶっきら棒で脱線気味だし、アマゾンの書評で指摘されているように、ツッコミどころもいくつかあります。

しかし、ギャンブルの話と同様、そこには、長年にわたって世界各地を旅し、「無境界」の世界で生きてきたアウトサイダーならではの強烈なメッセージが込められているように思うのです。

1970年代に日本を飛び出し、「二十代のある一時期から、生き方の範囲を自らに限定しないことを唯一の信条として生きてきた」森巣氏にとっては、国家という、近代の産物に過ぎない枠組みに縛られて生きることが窮屈でならないのだろうし、そういう枠に進んで自らを押し込めようとする人たちが不思議でならないのでしょう。

森巣氏の生き方を真似ることはちょっと無理にしても、この本をきっかけに、日本とは何か、日本人とは何なのか、改めて考えてみるのも悪くないかもしれません……。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします



JUGEMテーマ:読書

at 18:42, 浪人, 本の旅〜旅の物語

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