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本の「賞味期限」

最近、読む本を選ぶときに、まず出版された年を確認するのが癖になりました。

翻訳作品の場合なら、訳書の出版年よりも、原書がいつ出版されたのかを調べます。

以前なら、そんなことはほとんど気にせず、タイトルや著者名だけで選んだり、あるいは目次や中身をパラパラと見て直感的に気に入った本を読んでいたのですが、最近になって出版年という新たな条件が加わり、しかもそれがかなりの重みを持つようになっているような気がします。

ちなみに、私が目安としている出版年の条件は「1995年以降」で、それ以前に書かれた本を読もうとはあまり思わなくなりました。

もちろん、時間があれば読んでみたい古典作品は今でもたくさんあるし、1995年という数字もそれほど絶対的なものではありません。また、人間の内面について探求した作品であれば、出版年はあまり気にせずに読むようにしています。

しかし、いわゆる「リアル世界」について書かれた作品、例えばノンフィクションやルポルタージュ等のジャンルについては、1980年代の出版だと、もう読もうという気にならないのです。

そうした作品においては、時代を超えて息長く読み続けられることを願って、著者の方々がたいへんな努力を払っているはずなのですが、それでも書かれてから十数年の歳月が流れると、著者の問題意識や視点、文章そのものに、当時の社会的な文脈が色濃く反映されているのがハッキリと見えてしまいます。

簡単に言えば、時代を感じるというか、懐かしいというか、とにかく、すでに過ぎ去った時代の匂いがしてしまい、その本を今読まなければならないという必然性が感じられなくなってしまうのです。

しかも最近、世の中の変化のスピードがさらに加速していて、そうした時代のズレを感じ始めるまでの年数がさらに短くなっているように思います。

さらに、これは私の個人的な感覚なのですが、1995年頃を境として、日本の社会も世界も質的に大きく変化したために、それ以前に書かれた本が一斉に古臭くなってしまったような気がするのです。

その変化については、日本の戦後社会システムの解体とか、グローバリゼーションとか、インターネット革命とかいろいろと言われていますが、そうした社会変化の総体は急激で大規模で、しかも現在も休むことなく続いています。

これだけ世の中の移り変わりが激しいと、私としては、身の回りで起きていることを少しだけでも理解し、その流れについていくのが精一杯で、過去の追憶に浸っている余裕などはありません。あるいは次々に現れる新奇なモノに目を奪われて、それを追いかけることだけに注意力を使い果たしてしまっているのかもしれません。

ひと昔前の本には何の罪もないし、そうした本の価値がゼロになったわけでもないのですが、心の余裕がないせいか、私の目にはそれらがみんな「賞味期限切れ」に見えてしまうのです。

一冊の本を出版することの大変さを考えれば、本の賞味期限を云々するなど、業界の方々に対して大変失礼なことだとは思うのですが、実際のところ、私に限らず多くの人が、スーパーに並ぶ食料品と同じように、本の「鮮度」を気にするようになっているような気がします。

そういう環境では、「今」というタイミングを逃した本は、たとえそれなりに価値があっても人々の視界から急速に消えていってしまうし、仮にそうした本を後で個人的に発掘したとしても、その本が発散する古臭さをどうすることもできません。

ちなみに、私の実感としては、現在発行されている本のほとんどは、「賞味期限」が長くて10年くらいなのかな、という気がします。もっとも、それ以前に、書店の本棚からすぐに消えてしまったり、絶版になってしまう本の方が多いかもしれませんが……。

しかし、冷静に考えてみれば、こうして気ぜわしく新しいものを追いかけ、「今」だけにフォーカスし過ぎることも、それはそれで問題なのかもしれません。

「今」の時代感覚に適合するものだけに関心の対象に絞っていけば、おのずと視野は狭まっていくし、そこには、世の中の流れがどこに向かっているかを判断する基準がありません。

こんな時代に、ひと昔前の本を読み返すということは、まるで歴史学者みたいなマニアックな行為に思えてしまうのかもしれませんが、ある意味では、それは心に余裕がなければできないことなのかもしれないし、むしろそういう余裕こそ、こういう時代に必要とされているのかもしれません……。


JUGEMテーマ:読書

at 19:04, 浪人, 本の旅〜本と読書

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