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『みたい夢をみる方法 ― 明晰夢の技術』

評価 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります

『みたい夢をみる方法』というこの本のタイトルから、夢をエンターテインメントとして楽しむための、気軽なハウツー本のような内容を想像する人も多いと思いますが、実際に読んでみると、かなり真面目で本格的な内容であることが分かります。

この本の前半は、睡眠や夢に関するごく基本的な解説から始まるのですが、やがて、夢を見ているときに「意識」はあるのか、という話題から、そもそも人間にとって「意識」とは何かという、少し難しい話に入っていきます。

著者のマックフィー氏によれば、「意識」とは、「感覚の体験をそれが起こっているときに体験できる能力」を意味するのですが、「意識」には、感覚や思考そのものを体験する一方で、同時に、それを体験している自分自身をも体験するという二元性があります。

逆に、単に感覚的な体験をしたり、思考したり、あるいは何らかの行動をとっていても、そこに自覚が伴っていない場合は、「意識」があるとは言えない、ということになります。

ふつう、日中に仕事をしたり、人と話をしているときには、誰でも当然「意識」があると思われていますが、それが日頃の習慣による惰性でほとんど自動的に行われていたり、感情に流されて、お決まりの反応パターンを繰り返しているようなときには、たとえ目が覚めていても、マックフィー氏の言う意味で「意識」があるとは言えないのです。

それはちょうど、私たちが毎日夢の中でさまざまな体験をしているにもかかわらず、目覚めたあと、それを全く覚えていなかったり、たとえ思い出せたとしても、夢を見ている瞬間にはそれが夢であることに気づかずに、矛盾に満ちた夢のストーリーの中に巻き込まれたままになっているのに似ています。

明晰夢とは、夢の中で「意識」を保つこと、つまり、夢の中で起こっていることをその瞬間に体験しつつ、自分が夢を見ているということも自覚している状態です。

そうだとすれば、起きているときにすら「意識」がほとんどない人が、ましてや夢の中で「意識」を保つなど無理な話だということになります。だから、もし真剣に明晰夢を見たいと思うなら、まずは起きている間に「意識」が持続するように訓練し、それを習慣づけなければならないということになります。

これは一見したところ回り道のように見えるかもしれませんが、私には、明晰夢を誘発するための細かなテクニックをあれこれ試してみるよりも、ずっと真っ当なやり方であるような気がします。もっとも、私の場合、本気でそういう訓練をしたこともないし、明晰夢を見ているわけでもないので、こんな偉そうなコメントができる立場ではないのですが……。

ところで、マックフィー氏は、明晰夢を見られるようになった人が、自分の空想の力を利用して、夢の中で好きなことをして楽しむのは、「究極の遊園地」への逃避だとして、それにあまり高い価値を与えてはいないようです。

彼にとって明晰夢とは、単なるエンターテインメントではなく、自己の統合を目指すための機会なのであって、彼にとって重要なのは、無意識の心が創造した世界と夢の中で相互作用するような、「洗練された明晰夢」なのです。

そういう意味では、この本のタイトルも、「みたい夢をみる方法」というよりは、「明晰夢を通じて、無意識の自己と誠実に向き合う方法」とでもした方がふさわしかったのかもしれません。

この本の後半では、そうした観点から、これまでの精神分析の伝統をふまえ、人が無意識の世界に押し込めてきた感情や認識を意識の光の下に引き出し、自己の統合を目指していく方法、つまり、「意識と無意識の感情と認識を統合させるための道具としてのメンタルヘルス技術」について述べられています。

こうしたテーマは、明晰夢そのものの話からは少し離れることになりますが、明晰夢の世界を探究する人の誰もが、夢の中で無意識そのものに直面し、多くの場合それは、これまで意識することを避けて抑圧してきた私たちの「影」と向き合うことでもあることを考えると、心理学の基本について、少なくともこの本に書いてあるくらいの知識は、身につけておいた方がいいのかもしれません。

それにしても、マックフィー氏自身は明晰夢をどのくらい見るのでしょうか? この本には、彼自身の明晰夢の事例はほとんど載っていないし、書かれている内容も、全体的にやや抽象的な感じがします。彼自身の体験に基づく、明晰夢の実践的なノウハウみたいなものを期待していただけに、少し残念でした。


マルコム・ゴドウィン著 『夢の劇場 ― 明晰夢の世界』 の紹介記事
スティーヴン・ラバージ著 『明晰夢 ― 夢見の技法』 の紹介記事


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします



JUGEMテーマ:読書 

at 18:43, 浪人, 本の旅〜魂の旅

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