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『コドモダマシ ― ほろ苦教育劇場』

 

評価 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください

この本は、謎のイタリア人(?)戯作者、パオロ・マッツァリーノ氏による知的エンターテインメント最新作です。

今回は、これまでの「統計漫談」とはかなり趣を変えて、とある勝ち組サラリーマン家庭の親子の対話という設定の、ショートコント仕立ての作品になっています。

身のまわりのさまざまな出来事への子供らしい素朴で鋭い疑問に対し、お父さんが自らの威厳を保つため、強引なヘリクツを駆使して立ち向かうというパターンなのですが、その話題は受験や将来の夢、ペットやイジメの問題といった、子育てに関わる身近で切実な問題から始まって、環境問題や格差の問題、果ては現代美術の鑑賞法まで、あらゆる方向へと広がっていきます。

一見、軽く皮肉の効いた知的なホームコメディという感じですが、お父さんが妙に統計データに詳しかったり、親子の対話に茶々を入れるちょいワルおじいちゃんが登場したり、「理論派お父さんのための」少々マニアックなブックリストがついていたりと、本書の随所にマッツァリーノ氏らしさが顔を出しています。

また、お父さんの言葉も、最初の頃はその場しのぎのヘリクツそのものだったりするのですが、後半になると、マッツァリーノ氏のキャラが乗り移ってしまったのか、子供の疑問に対してなかなかシャープな切り返しをみせたり、理屈だけでは割り切れない世の中の矛盾に対して、なかなか説得力のある面白い解説をしてみせたりと、その「成長」ぶりもなかなかのものです。

それにしても、マッツァリーノ氏は新作のたびに新たな表現スタイルにチャレンジしています。

今回も、作品をまとめるにあたって、「社会性を持たせつつ、ホームドラマでもなくてはならないし、ほのぼのとした中にブラックな味付けを、それでいて深刻にならずあくまで軽妙に……」という、相当に高いハードルを自らに課して臨んだようです。

それは、前作の『つっこみ力』でマッツァリーノ氏自らが提唱した、「愛と勇気とお笑い」のさらなる実践でもあるのでしょう。

ただ、個人的な好みで言うなら、私は『反社会学講座』の頃の、あまり一般向きではないかもしれないけれど、毒があって切れ味鋭い「統計漫談」の方がずっと面白かったと思います。今回の作品は、話題もぐっと日常的になって、軽妙でほのぼのとした味わいも増し、誰もが手に取れる内容になっているのですが、毒の効いたユーモアという点では逆に物足りなくなってしまった気がします。

もっともそれは、私がそうした毒気に関して鈍感になってしまったからなのかもしれません。インターネット上では、裏づけや説得力はともかく、過激さや極端さだけを売り物にするような言説がいくらでも読めてしまうので、いつしかそうした傾向に慣れてしまい、彼の作品にも、そういう過激さのようなものをつい期待してしまうのでしょうか。

というわけで、この本については、人によって評価が分かれるのかもしれません。興味のある方は、実際に読んで確かめてみてください。


パオロ・マッツァリーノ著 『反社会学講座』の紹介記事
パオロ・マッツァリーノ著 『反社会学の不埒な研究報告』の紹介記事
パオロ・マッツァリーノ著 『つっこみ力』の紹介記事


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします



JUGEMテーマ:読書 

 

at 18:44, 浪人, 本の旅〜人間と社会

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