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旅の名言 「いかにもインドらしい……」

 デリーでアジア競技大会の開催が近づいたころ、それまで街に溢れていた乞食がすっかり姿を消してしまった。しばらくして僕は、乞食たちがつぎつぎとトラックに乗せられ、三日分の食料とともに砂漠に捨てられたといううわさを聞いた。いかにもインドらしいうわさである。そのときは半信半疑だったが、それから数年して、それがどうやら事実らしいことを知った。
 ある信頼できる本がそのことに触れていたのと、僕の友人の友人である日本人が、インド人の乞食と間違えられ、当時のデリーで、じっさいトラックに積みこまれそうになったという話を聞いたからである。

『インドの大道商人』 山田 和 講談社文庫 より
この本の紹介記事

バックパッカーがインドでよく耳にする都市伝説の一つに、「デカン高原に捨てられた乞食」という話があります。

ある日突然、インド政府が街中の物乞い全員をトラックに乗せて連れ去り、デカン高原まで運んで捨ててきてしまったという、ちょっとありえないような話なのですが、その突き抜けた荒唐無稽さには、どこか「インドらしい」ところも感じられて、聞く人はなぜか、やっぱりインドって凄いよね、みたいに、妙に納得してしまったりするのです。

私はこの話を日本でも聞いたことがあるので、旅人の間だけの話というよりは、日本国内でもかなり広く知られた都市伝説なのでしょう。

しかし驚くべきことに、山田和氏は『インドの大道商人』の中で、これはどうも本当の話だったらしいと書いています。もっとも、「デカン高原」という地名については、話が伝わる中で尾ひれとしてつけ加えられたもののようですが……。

アジア競技大会がデリーで開催されたのは、1951年の第1回大会と1982年の第9回大会の2回ですが、山田氏がその時期にインドにいたということは、1982年ということになります。

1980年代といえば、伝説や歴史の時代ではなく、まさに現代です。日本人の常識からすればとても信じられない話ですが、世界のあちこちでは、今なお、私たちの通念をはるかに超える出来事が起きているようです。

ところで、今になって思うのは、この本に書かれた情報自体が、この都市伝説の流布に力を与えた可能性があるかもしれないということです。この本を読んで衝撃を受けた読者が、あちこちの酒の席などで話を広めたからこそ、日本の各地や、多くの旅人の間にこの話が伝わったとも考えられます。

ちなみにこの都市伝説には話の続きがあって、デカン高原に捨てられた物乞いのほとんどが、数カ月後、かつて暮らしていた街まで歩いて戻ってきたという「オチ」になっています。そこには、人間のたくましさや、ささやかな救いのようなものも感じられるのですが、これもまた、後からつけ加えられた創作部分に過ぎないのかもしれません。

本当のところはどうだったのでしょうか? 今、デリーの街で暮らしている物乞いの中には、もしかすると、30年近く前のアジア大会のとき、実際にその事件を生き延びたという人がいるのかもしれません……。


JUGEMテーマ:旅行

at 18:26, 浪人, 旅の名言〜土地の印象

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