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『ロロ・ジョングランの歌声』

 

評価 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください

この物語のヒロインは、29歳の雑誌編集記者。1998年に騒乱のさなかの東ティモールで命を落とした従兄の新聞記者の死の謎を追って、インドネシアや東ティモールを旅するという設定です。

そしてまた、これは、ジャーナリストや国際ボランティア、開発援助に携わるビジネスマンなど、旅を仕事とし、さまざまな国や地域を転々としながら生きる人々の物語でもあります。

ストーリーはヒロインの仕事や恋愛、そして、次第に明かされる謎を軸に展開するのですが、物語の背景として、日本政府によるODAや民間のボランティアなど、インドネシアを舞台とした国際協力活動の世界、とりわけその影の側面が詳しく描かれています。

「助けたいという気持ちと、その中にある偽善。そして利権」……。この世には、そもそも純粋な善など存在しないのかもしれませんが、多くの人が薄々気がついているように、美談として語られる国際協力の分野もまた、その例外ではありません。

しかし、作者の松村氏は、単純な正義を振りかざして、そうした影の部分を断罪するような立場はとりません。この物語のヒロインのように、実際に国際協力の現場に踏み込んでみれば、そこにはさまざまな人々の立場や動機や事情があり、その国の文化慣習があり、国家間の関係や歴史的な経緯もあることが見えてきます。

松村氏は、そうした多様な立場や視点を象徴するような人物を物語に登場させ、それぞれに語らせることによって、簡単に割り切った答えを見出すことのできない、国際協力の世界の複雑な様相を、巧みに描き出しています。

もっとも、この本は、いろいろな仕掛けを盛り込んだ知的なエンターテインメントとしてよく作り込まれているので、国際協力の現場とか、インドネシアや東ティモールというテーマに興味があるかどうかに関係なく、ストーリー展開そのものを追うだけでも十分に楽しめると思います。

ただ、個人的には、細かすぎるほどのヒロインの心理描写とか、現実にはありそうもない、メロドラマ風のややこしい人間関係には、読んでいて違和感を覚えました。あるいは、こういう特徴というのは、エンターテインメント系の小説ではごく一般的なことなのでしょうか? 私はこうしたジャンルの小説をほとんど読んだことがないので、よく分からないのですが……。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします



JUGEMテーマ:読書

 

at 18:41, 浪人, 本の旅〜旅の物語

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