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『浦島太郎はどこへ行ったのか』

評価 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください

日本人なら、たぶん知らない者のないほど有名な浦島太郎の物語。しかしこの昔話が、実は、かつて日本の歴史書の中に描かれた「史実」であったということは、ほとんど知られていないのではないでしょうか。

『日本書紀』には、丹後国の浦嶋子が雄略天皇の治世22年(西暦478年)に蓬莱山を訪れたという記述があり、『丹後国風土記』の逸文には、浦嶋子と蓬莱の亀姫との悲恋が語られています。その後、中世の『御伽草子』に描かれた浦島太郎の話によって、亀の恩返し、龍宮、乙姫、玉手箱など、現代まで伝わっているようなモチーフが広まったとされています。
ウィキペディア 「浦島太郎」

もしも浦島太郎の話が単なる空想物語ではなく、その一部にせよ、何か歴史的な事実が反映されているのだとしたら、この不思議な話をどのようにとらえればいいのでしょうか? 彼の前に現れた亀とは? 龍宮はどこにあったのか? 玉手箱の中身とは? 等々……。

この本の著者、高橋大輔氏は、そうした謎の正体を突き止めるべく、浦嶋伝説の舞台であった丹後半島をふりだしに、他に伝説の伝わる土地や、謎を解く手がかりになりそうな場所を片っ端から訪れ、果ては「蓬莱」の痕跡を求めて、中国にまで足を伸ばします。

浦島太郎の物語の謎に惹かれる人は多いでしょうが、実際にそこまで徹底的な探索をする人はまずいないでしょう。「子供が考えつくようなことを、大の大人が大真面目でやる」ところに、この本の面白さがあります。

高橋氏は各地への旅を繰り返し、同時に古代史に関わる膨大な文献の山と格闘し、現場で得たインスピレーションと文献の記述とをつき合わせていくのですが、そのプロセスを通じて、有史以前のはるか昔から日本と周囲の世界を結びつけてきた海上のルートの存在と、そこからもたらされたさまざまな技術や文化、そして、それを担ってきた古代の海人族と浦嶋伝説との深い結びつきが浮かび上がってきます。

そして彼は、旅の最後に、浦嶋子が実在の人物であったことを前提に、彼が実際にたどり着いた「蓬莱」とはどこであったのかなど、浦嶋伝説をめぐる謎についての大胆な仮説を提示しています。

もちろん、この仮説を古代史の専門家がどう評価するのかは私には分からないし、その仮説に説得力を感じるかどうかも、それぞれの読者次第でしょう。それにそもそも、龍宮や玉手箱の正体が分かったところで、一体それが何の得になるのか? と言われてしまえばそれまでです。

しかし私はむしろ、こうした結論部分よりも、そこにいたるまでの試行錯誤、つまり、わずかな手がかりを求めて文献を渉猟し、日本の各地を飛び回るというプロセスこそ、探求者にとって最も価値のある、楽しい時間だったのだと思います。

高橋氏はこの本の旅を、「物語を旅する」こと、つまり「伝説や神話、昔話、あるいは物語に秘められた謎を追い、フィクションとノン・フィクションが重なり合う接点を求める旅」であるとしていますが、こうした探索の旅というのは、ツボにはまれば非常に面白そうです。

ただし、今回のように古代史が関わってくると、虚実入り乱れた膨大な文献の混沌とした世界に足を踏み入れることになるので、下手をするとそこから一生出られなくなりそうですが……。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします


JUGEMテーマ:読書 

at 18:54, 浪人, 本の旅〜日本

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