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『デジタルネイティブ ― 次代を変える若者たちの肖像』

Kindle版はこちら

 

評価 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください

 

この本は、昨年の11月10日に放送された『NHKスペシャル デジタルネイティブ』の内容を、取材や番組制作のプロセスを交えて書籍化したものです。

13歳で起業し、SNSで世界中から専門技能を集めてカードゲームを開発したアメリカの少年、「ネット上の不特定多数への信頼」をベースにしたさまざまなサービスを生み出す「はてな」創業者の近藤淳也氏、そして、市民運動に関心のある200か国20万人以上が集まるSNSを運営し、ネット上に自分たちの「国連」をつくり出そうとする若者たち……。

この本では、インターネットの発展と時を同じくして成長し、ネットとリアルを同じ現実としてとらえ、ネットの可能性を信じ、地位や肩書にとらわれず、互いの情熱や能力によってつながりながら、強力なネットワークを生み出していく「デジタルネイティブ」たちの姿が紹介されています。

もちろん、ここに登場する人々は、TV番組としてのインパクトと分かりやすさを求めて選ばれた特別ケースであって、インターネットを利用する若い世代の平均的な姿を示しているわけではないでしょう。

また、新しいタイプの若者が現れつつあることに一般の注意を喚起するうえで、番組は一定の役割を果たしたと思うのですが、「デジタルネイティブ」という言葉が意味するもの、つまり、その具体的な特徴や、彼らがもたらす将来の社会変化の可能性について、明確にその姿を描くところまでは至っていないようです。

ただ、ネット世界にある程度なじんでいる人なら、「デジタルネイティブ」に関する詳細な研究を待つまでもなく、以前からインターネットの可能性として言われつづけてきたことをまさに体現する存在として、彼らのことを驚きよりは共感をもって受け止めるのではないかという気がします。

私はこの本を読んでいて、むしろインターネット「以前」の世代、つまり現在40代より上くらいの、社会的にはマジョリティといえる人々が、こうした新しいタイプの若者たちに対して、今後どのような反応をするかの方が気になりました。

若く優秀な人々が、彼らのネットワークとネットの効率性を駆使して、「大人」たちの経済的・社会的な実力を凌駕する時代が、もしかすると、私たちが思っているよりもずっと早くやってくるかもしれません。

そのような事態に直面したとき、実務能力ではネット世代に到底かなわない年長者らは、今までと同じように古臭い精神論を掲げ、「年長者に従え!」と虚しい説教をくり返すのでしょうか? それとも彼らの地位と権力を賭け、これまでの社会経験で身につけたしたたかさを発揮しつつ、若い世代に対して死にもの狂いの戦いを挑むのでしょうか? あるいは、世の中の激動に抗することもできず、ただそのありさまを傍観することになるのでしょうか……。

インターネットがリアル世界にもたらす葛藤は、決して「世代間闘争」に収斂するものではないと思いますが、それでも、世の中を実際に動かすパワーを誰がどのような形で握るかをめぐって、これから何年にもわたって、世の中が激しく動くのは確実でしょう。

それともうひとつ、ネットの世界で多様なバックグラウンドの人々がフラットにつながるといっても、現実的なコミュニケーション言語としては、圧倒的に英語が使われているという現状があります。

英語圏の人々にとって、これは大きなアドバンテージであり、また同時に、世界中の人々とホワイトカラーの仕事を奪い合うことになるという意味では脅威でもあるのですが、(英語に堪能な一部の人を除く)日本人の場合、ネットの可能性以前の問題として、言語という大きな壁が立ちはだかっています。

これは、私たちにとって決定的に不利なことなのでしょうか? それとも、世界的な大競争に直接巻き込まれない幸運に、しばし安堵すべきなのでしょうか?

まあ、安堵するといっても、与えられる時間的猶予はわずかだろうし、翻訳ソフトが高度に発達すれば、そうした壁もいずれ乗り越えられてしまうのでしょうが……。

それにしても、すでに年齢を重ね、今さら若い人と同じスピードで新しいテクノロジーを吸収することなんてできないと思う人は、こうした本を読んだり、将来の見通しについて考えるだけで脅威を感じてしまうかもしれません。

しかし、すべての世代の人々にとって、インターネットには影ばかりではなく光の側面もあるはずです。

本当に自分が情熱をもってやりたいことを見つけた個人が、出身・性別・年齢・地位や肩書きとは一切関係なく、ネット上のネットワークとインフラによって驚くべき力を手に入れる可能性が広がっているというのは、これまでの社会の仕組みの中で分不相応な特権を享受していた一部の人を除けば、やはり多くの人にとっての希望だと思います。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします



JUGEMテーマ:読書

 

 

at 19:23, 浪人, 本の旅〜インターネット

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