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『いつも旅のなか』

Kindle版はこちら

 

評価 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります

作家の角田光代氏は、これまで仕事を含めて数十回も海外を旅しているそうですが、個人的な旅の多くは、バックパックやデイパックを背負い、安宿に泊まったり安食堂や屋台で食事をしながら、ひとりで数週間から数カ月異国を旅する、いわゆるバックパッカー・スタイルです。

そこには、個人旅行ならではの、未知の人々との出会いがあり、思わぬハプニングがあり、ゆったりと流れる旅の時間があります。

この本には、アジアの国々をはじめ、世界各地で角田氏が体験した旅のエピソードがユーモラスに描かれているのですが、読んでいると、彼女の豊かな旅の日々が垣間見えるような気がします。

角田氏は本文中で、自分は致命的な方向音痴のうえに、何度旅を繰り返しても旅慣れるということができず、いまだに異国や旅がこわいと書いているのですが、そう言いつつも、いったん日本を飛び出せば、安食堂で地元の人に混じって地酒を飲んだり、知り合った現地の人たちと思う存分遊んだり、ときには正体不明の「合法」ドラッグでバッドトリップしてみたりと、結構やんちゃな旅も楽しんでいるようです。

また、国境というものが好きで、茶店でひがな一日茶をすすりながら、国境付近を行き来する人を眺めていたりするなど、なかなかディープな旅の楽しみを知っている方とお見受けしました。

彼女は旅に関しては「超ダウナー系」なのだそうで、行き先の国や街についてあまり予備知識を詰め込まず、着いた先では自分のペースでゆったりと過ごしながら、そこで誰か面白い人物と出会うのを待つなど、基本的には受け身の姿勢で旅をしているのですが、その代わり、五感や思考、さらには勘にいたるまで、自らの感受性はフルに働かせているようです。

この本に描かれている旅のルートや内容は、実は、決して冒険的でも、めずらしいものでもありません。ある程度個人でいろいろな国を旅した人なら、実際に足を運んだことのありそうな地名がいくつも並んでいます。

それでも、角田氏のエッセイがとても味わい深く、その描写にハッとさせられるようなオリジナリティを感じるのは、旅先で出会う風景や人々や、ちょっとしたハプニングや印象深いできごとのなかに、彼女の人柄や生き方の姿勢みたいなものが、率直に、的確なことばで表現されているからなのでしょう。

そこには、きれいなものも汚いものも、楽しいことも苦い経験も、この世界が差し出してくれるすべてのものを見て、味わってみたいという好奇心や、それらをこの世の現実として肯定し、受け入れようという姿勢、そして、旅先で出会うすべての人々への温かいまなざしが感じられます。

また、ゆったりとした旅の時間は、人をおのずと思索に誘うものですが、このエッセイでも、旅のスタイルと年齢の問題とか、旅立ちの不安、自分のお気に入りの国、あるいは旅の展開の仕方が象徴する自分の人生のパターンなど、さまざまな興味深いテーマに触れています。

こういうテーマは、旅の好きな人なら特に面白く感じるはずです。彼女のことばに共感できる旅人も多いだろうし、あるいは逆に、旅に関して自分とは少し違う視点や考え方に、新鮮さを覚える人もいるのではないでしょうか。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします



JUGEMテーマ:読書

at 18:39, 浪人, 本の旅〜世界各国

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go-ichi, 2010/09/27 10:26 PM

今日買っちゃいました(笑)。
これから読んで見ます。

浪人, 2010/09/28 6:41 PM

go-ichi さん、コメントありがとうございました。

バックパッカー的な旅が好きなら、きっと楽しめる本だと思います。










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