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旅の名言 「旅それぞれに寿命が……」

旅それぞれに寿命が異なっていて、予想もつかないように思えるのだ。旅人が帰宅する前に寿命が尽きて終わってしまう旅があることは、きっと誰もが知っているのではないだろうか? 逆もまた真なりだ。足を止め、時が過ぎた後になっても長く続く旅がたくさんある。

『チャーリーとの旅』 ジョン スタインベック ポプラ社 より
この本の紹介記事

ノーベル賞作家のスタインベック氏が、愛犬チャーリーとキャンピングカーでアメリカを一周する旅を描いた、『チャーリーとの旅』からの一節です。

旅というのは、常識的には、家を出てどこか別の場所に向かい、再び家に帰ってくるまでのことだと考えられているし、実際そう考えることで、ふつうは何の不都合もないはずです。

しかし、スタインベック氏によれば、旅には寿命というものがあって、その長さは旅によって異なり、家を出て再び家に帰りつくまでの期間とは必ずしも一致しないことがあるというのです。

もちろん、毎日の通勤通学とか、近所への買い物とか、ちょっとした週末の小旅行くらいでは、そういうズレが起きることはないでしょう。

しかし、旅人にとって深い意味をもつ旅や、非常に長い旅、あるいは、旅での思いがけない出来事が、旅人の生き方に大きなインパクトを与えるような場合には、旅の物理的な時間と心理的・内面的な旅のプロセスとの間に、大きなギャップを感じることがあるのかもしれません。

例えば、スタインベック氏は、この本で描かれているアメリカ一周の旅が、自分の中では、自宅に帰りつく前にすでに終わってしまっていたことを告白しています。

 私自身の旅はというと、出発よりずっと前に始まり、帰宅する前に終わった。
 旅が終わった場所も時間もしっかり覚えている。ヴァージニア州アビンドン近くの急カーブで、風の強かった日の午後四時だ。前触れもなく別れの挨拶もキスもなく、旅は私から去っていってしまった。私は家から離れた場所で取り残されてしまったのだ。
 私は旅を呼び戻して捕まえようとしたが――愚かで無駄なことだった。旅が終わり、もう戻ってこないのは明らかだったのだ。道は延々と続く石の連なりとなり、丘は障害物となり、木々は緑色の霞となった。人々はただの動く影となり、頭はついていても顔はないのと同然だった。道沿いの食べ物はどれもスープのような味しかしなかったし、実際にスープだって構わなかった。

そして、彼にとっては、アビンドン以降の道のりは「時間も出来事もない灰色のトンネルのようなもの」で、その道中の記憶が何も出てこないのだといいます。

このように、実際の時間よりも短命な旅があれば、その反対に、寿命の長い旅というのもあるはずで、それについて、彼はこんな例を挙げています。

 私はサリーナスにいた男のことを覚えている。彼は中年時代にホノルルに旅行に行ってきたのだが、その旅は彼の生涯にわたって続いたのだ。玄関先のポーチで揺り椅子に座っている彼をよく見かけたが、目を細めて半ば閉じたまま、永遠にホノルルを旅しているようだった。

まあ、いずれにしても、旅人の心の中で旅が終わったかどうかは、あくまで当人の主観で判断することであって、極端な話、どうとでも言えてしまうわけですが、実際には、旅の外面的・内面的なプロセスの間に大きなギャップが生じて、本人でさえ驚いてしまうようなことがたびたび起きるのでしょう。

考えてみれば、映画や本などでも、最初の30分くらいですっかり飽きてうんざりしたり、先が全部見通せてしまい、すでに気持ちの上では終わっているのに、何となく義務感や惰性に引きずられて、最後まで見たり読んだりしてしまうということはあります。また逆に、作品の印象が強烈で、鑑賞し終わってから何時間も何日も、場合によっては何年ものあいだ、その作品が心から離れないということもあるでしょう。

旅に関しても、似たようなことが言えるのかもしれません。

ある旅は、いつまでも醒めない夢のように、旅人を生涯にわたって魅惑し続けるだろうし、別の旅は、途中で突然幕が下りてしまい、旅人をとまどわせることになるのでしょう。そしてそうした旅の寿命は、人生と同じく、事前には「予想もつかない」もので、実際に旅に出て、それを全うしてみないことには何とも言えないのです。

もっとも、それぞれの旅の寿命というのは、旅する本人にとっては重要でも、結局は非常に個人的な問題であって、旅の武勇伝とかみやげ話ならともかく、他人にとってみれば、まあ、どうでもいい話ではあるのですが……。


JUGEMテーマ:旅行

at 18:54, 浪人, 旅の名言〜旅の終わり・帰還

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