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フローレス島で「道路工事」

インドネシア東部に、フローレスという島があります。観光的見どころの多い美しい島ですが、山がちで道もあまり整備されていないので、旅をするにはそれなりにしんどいところです。

私が旅した時は、ちょうど雨季の最中でした。バジャワからルーテンに向かっていると、狭い山道の途中でバスが立ち往生しました。乗客がゾロゾロとバスから降りていくので私も外に出てみると、すぐ先の道路の谷側の路肩が崩れています。なお悪いことに、それを避けようとしたダンプが山側の路肩に突っ込んでしまって、動けなくなっていました。

山側がダンプにふさがれているので、このまま進もうとすれば谷側を通るしかありませんが、路肩の崩れ方を見る限り、とてもバス一台が通れるような幅はありません。誰かがダンプを引っ張り上げて道からどかすか、路肩が修理されるのを待つ以外に先に進む方法はなさそうでした。

バスの運転手も乗客も、その場にヘナヘナと座り込んで呆然としています。しばらくの間、みんな無言でした。

すると、バスの中で私の隣に座っていた中国系のオッサンが、何やら叫び出しました。インドネシア語がよくわからないので半分は想像ですが、「おまえら、こんなとこでボーッとしてたって何にもならないぞ! 俺たちで何とかしなきゃ、このままここで夜を明かすことになるぞ!」といった感じのことを言ったらしく、崩れた路肩のところに行って、そこで一人で岩を積み上げ始めました。

しばらくの間、他の人たちは彼の仕事をボーッと眺めていましたが、そのうち心が決まったのか、次々に立ち上がって彼を手伝い始めました。私の見たところ、路肩はけっこうえぐれていて、素人の「道路工事」ではとても直せないように見えましたが、ここでじっと座っていても仕方ないので、私も彼を手伝うことにしました。

崩れたところに大きな岩を埋め、隙間に石を詰めるだけの応急処置です。しばらく作業をすると、とりあえず見かけは道らしくなりましたが、バスが通ったらそのまま崩れて、さらなる大惨事になりそうな気もします。バスは乗客や荷物を全部下ろして身軽になると、にわか造りの道の上をソロソロと進んでいきました。

道は、バスの幅ギリギリしかありませんでしたが、路肩をバスが踏んでも崩れませんでした。バスはなんとか向こう側に無事たどり着くと、再び荷物と乗客を乗せて走り出しました。

まさに中国系のオッサンの行動が生み出したミラクルでした。彼がいなければ、そのまま皆で途方に暮れていただけだったかもしれません。何はともあれ、まずはやってみるものです。そのオッサンは、ジャカルタに住んでいるそうで、フローレス島には商談で来ていたのか、帰省していたのかわかりませんが、合理的で実際的な中国人らしさをいかんなく発揮した出来事でした。

それにしても、あの急ごしらえの道はその後どうなったのでしょうか? 何も知らない後続の車がそのまま通って事故に遭わなかったことを祈りたいと思います。


at 19:51, 浪人, 地上の旅〜東南アジア

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