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『孤独な鳥はやさしくうたう』

評価 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください

この本は、作家・翻訳家の田中真知氏による旅のエッセイです。アフリカやヨーロッパの旅を中心に、さまざまなエピソードが収められています。

バックパッカーの間には、「耐えてアフリカ」という有名な言葉があって、アフリカの旅といえば、辛く厳しい旅をまっさきに想像してしまうし、実際にそれをテーマにした本も多いようですが、このエッセイには、そういう、いかにもアフリカの旅らしい話はあまり出てきません。

もちろん、田中氏はアフリカで過酷な経験をくぐり抜けてきたはずで、この本にも、マダガスカルで命にかかわるような事故に遭った体験が描かれています。ただ、このエッセイで中心的なテーマになっているのは、タイトルからも想像できるように、孤独で繊細な旅人の心に深い印象を残していった、旅先での出会いと別れ、ささやかで、決して劇的な展開とはいえないけれど、いつまでも余韻の続くようなエピソードです。

このエッセイに登場する人物の多くは、現地の人も、旅人たちも、どこか芸術家肌で、自分自身の内面に真剣に向き合いすぎるせいか、孤独で、生きるのに不器用なところがあり、それぞれに苦しみを抱えています。ある意味で、今の世の中では居場所を失いかけた人々なのかもしれません。

旅をしていると、特に辺境ではなぜか、そういう人々に出会う確率が高いように思います。移動中の列車やバスの中で、宿のロビーで、あるいは異国の町の道端で彼らと出会い、しばしの時間を共有していると、何かのはずみにふと、彼らの心の中を覗き込んでしまったような、心のどこかがつながり合っているような感覚を覚える瞬間があります。

それは、この本で描かれているように、微妙で、少し奇妙で、言葉で伝えることのとても難しい感覚ですが、長い一人旅のような孤独な旅をしたことのある人なら、具体的な状況こそ違っても、同じような体験をしたことがあるはずで、田中氏の文章に、深い共感を覚えるのではないでしょうか。

ただ、個人的には、「追いかけてバルセロナ」という話が一番印象に残りました。田中氏が、ギリシャで出会った日本人旅行者を好きになってしまい、何としてでももう一度会いたくて、スペインに行ったとしか分からないその女性を、全身全霊を挙げて探し出そうとするドタバタ劇です。

ミもフタもない話ですが、やっぱりバックパッカーはこういう話が大好きなのです。世界を股にかける恋みたいなテーマは、旅人が何人か集まればよく話に出るし、そこでは実話なのか都市伝説なのかも分からないような劇的なストーリーを耳にします。

このエピソードも、実にシンプルでベタな展開ではあるのですが、むしろそこにインパクトがあるし、こういうことってやっぱり本当にあるんだと、ちょっと感動してしまいました。

そして、若いときにそんなドラマチックな旅をした田中氏を、とてもうらやましく思います。旅人というのはみんな、程度の差はあれ、一生に一度くらいは、恋の炎に焼かれて無我夢中で世界を飛び回る体験をしてみたいと夢想しているのではないでしょうか……。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします



JUGEMテーマ:読書

at 18:44, 浪人, 本の旅〜アフリカ

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