このブログ内を検索
新しい記事
記事のカテゴリー
            
過去の記事
プロフィール
            
コメント
トラックバック
sponsored links
その他
無料ブログ作成サービス JUGEM
<< 旅の名言 「ひとりバスに乗り……」 | main | 怒りの炎の向かう先 >>

危険なイメージと実際の危険

先日、ルーマニアのブカレスト近郊で、日本人女性が殺害される痛ましい事件がありました。

報道によれば、被害者は、深夜の空港から鉄道駅に向かおうとして、声をかけてきた地元の男性と一緒にタクシーに乗ってしまったようです。

この事件を、決して他人事ではないと思った旅人は多いのではないでしょうか。

実際に、個人で海外を旅したことのある人なら、男性・女性に関係なく、空港から市内へのアクセスは旅の第一関門で、特に初めての国では、非常に神経を使う場面だということは知っているはずです。

その一方で、そうした場面で起こりうるトラブルには、いくつかのパターンがあることも確かです。

トラブルを100パーセント防ぐのは不可能だし、あらゆるリスクを想定して、常に神経を張り詰めていたら、旅を楽しむどころではなくなってしまいますが、そこまでしなくても、ガイドブックなどを読んで、主なトラブルのパターンを頭に入れておき、それらを避けるように心がけるだけでも、旅のリスクをはるかに軽減できるでしょう。

旅人の中には、自分なら深夜の空港でどう行動するだろうか、あるいは、そうなる以前に、自分ならどういう旅程にするかなど、事件を機に、いろいろと考えてみた人もいるのではないでしょうか。

ただ、海外を個人で自由に旅する人というのは、旅行者全体の中で、決して多数派ではありません。

多くの人は、事件の報道に接することで、よく分からないけど個人旅行は危険らしいという、漠然としたイメージを強めることになったのではないかという気がします。

それに関して、ネットでこんな記事を見かけました。
Chikirinの日記 【日本人は平和ボケしてるから、海外で殺される?】

タイトルはちょっと刺激的ですが、内容は冷静で、外務省の統計資料を引きつつ、私たちが海外について、実際以上に危険だというイメージを抱いているのではないかと指摘しています。

統計によれば、旅行者および在留日本人のうち、海外で亡くなるのは年間500〜600名(2011年は592名)ですが、その大半は傷病が原因(同、409名)です。

ほかに、事故・災害(同、104名)、自殺(同、63名)とありますが、犯罪による死亡者は、2011年の場合、14名となっています。

この数字だけでは何ともいえないのですが、Chikirinさんは、年間の海外旅行者数や海外在住者数に対する割合などをざっくりと計算したうえで、日本国内と比較しても、犯罪による死者が極端に多いとはいえないのではないか、としています。

私も、ちょっと意外に思ったので、統計資料に実際に目を通してみました。
海外法人援護統計(外務省の「海外安全ホームページ」からもリンクがあります)

少し細かい話になりますが、資料の冒頭に、この統計では、「在外公館が実際に援護を実施した事案のみ計上」している旨の但し書きがあります。

大使館が対応しなかったような、小さな事件は統計に含まれていないということなのでしょうが、殺人や死亡事故などの重大なケースでは、まず間違いなく対応するはずなので、統計に載らない死者が他にいる可能性はないと思われます。

それと、旅をしていると、各国の安宿街などで、行方不明者の情報提供を呼びかける張り紙を見かけることがありますが、日本人の行方不明者はどれくらいいるのでしょうか。

確認してみると、2011年の場合、(新たに)行方不明となった人は6名とあります。

これも、イメージしていたよりずっと少なく感じられます。

行方不明者の場合、統計の数字に反映されないケースは、いくつかあるかもしれません。

例えば、旅行者がすでに日本の親族や知り合いと音信不通になっていれば、かりに消息を絶っても、誰にも気づかれず、届け出もされないという可能性はあります。

しかし、さすがに、そういうケースが毎年大量に発生しているということはないでしょう。

私の頭の中では、何となく、死者や行方不明者はもっと多いようなイメージがあったのですが、実際は、そうではないようです。

きっと、国内に比べて、海外で起きた事件の方が報道されやすく、扱いも大きくなるので、そうしたニュースに何度も接しているうちに、実際よりもずっと危険だという印象を抱いてしまったのでしょう。

考えてみれば、私たちが日常的にものごとを判断するとき、統計的な視点というのは、ほとんど考慮されていないように思います。

私も、Chikirinさんの記事をきっかけに、統計資料を見て初めて、自分の抱いていたイメージが、実際とはかなりズレているかもしれないと気づきました。

統計には、信頼できるデータを積み上げることで、五感だけではとらえられない物事の性質や傾向を、ロジカルに把握できるという利点があります。

旅にかぎらず、日常生活のさまざまな側面でも、個人的な経験とか、他者からの伝聞によって作り上げられたイメージに頼りすぎず、こうした統計的な視点からもチェックを入れる習慣を身につけておいた方がいいのかもしれません。

とはいえ、私たち一人ひとりの人生が、統計や確率の問題ではないのも確かです。

あるネガティブな出来事が、百万人に一人にしか起きない稀なケースであるとしても、誰かに起きるのであれば、それは自分かもしれません。

また、命を奪われないにしても、被害者が負傷したり、精神的に深いダメージを受けるような事件がその数倍あるということは、忘れてはならないと思います。

ちなみに、犯罪被害による負傷者は181名(2011年)ですが、実際に怪我をしなくても、心に何らかの傷を負った人はさらに多いはずです。

事件や事故を恐れ、過剰に警戒するあまり、旅がつまらなくなってしまっては本末転倒ですが、やはり、ある程度の注意は払うべきだし、保険加入や防犯グッズなど、事前に対策をとれるものについては、費用と効果のバランスを考えたうえで手を打っておくべきでしょう。

冒頭でも触れたように、空港など、旅人が狙われやすい場所やタイミングでは、主なトラブルのパターンを頭に入れて警戒を怠らず、一方で、気を抜いてもいい場面ではリラックスして楽しむなど、メリハリをうまくつけるようにすれば、旅を満喫できるのではないでしょうか。

もっとも、警戒モードのスイッチをどこで入れて、どこで切ればいいのか、その切り替えが自然にできるようになるためには、結局のところ、何度か旅をして、それなりのトラブルも乗り越え、各自がその経験から学ぶしかないのでしょうが……。


記事 旅の名言 「気をつけて、でも……」


JUGEMテーマ:旅行

at 19:02, 浪人, 地上の旅〜旅全般

comments(2), trackbacks(0)

スポンサーサイト

at 19:02, スポンサードリンク, -

-, -

comment
go-ichi, 2012/08/30 10:03 PM

旅行の話になるとまず聞かれるのが、
1,1人で行くの?
2,1人で怖くないの?
ですねえ。
旅行自体についての質問はその後です。
実際に危険かどうかより、
自分が知らない事への不安がまず来るのでしょうね。

浪人, 2012/08/31 6:57 PM

go-ichiさん、コメントありがとうございました。

個人旅行というのは、実際に何度かやってみれば、どこにリスクがあるのか、それにどう対応すべきか、それなりにコツが分かってくるもので、旅に限らず、日常生活の他の側面についても、同じことが言えると思います。

逆にいえば、実際にやってみないうちは、いろいろなことが漠然としたままなので、おっしゃる通り、「自分が知らない事への不安」から、危険を過剰に見積もってしまうのでしょうね。

とはいえ、私も、最近はテレビや新聞に影響されすぎて、海外が実際以上に危険だというイメージを抱いてしまっていたようなので、偉そうなことは言えませんが……。










trackback
url:http://ronin.jugem.jp/trackback/744