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裏起毛ワールド

毎年、冬になると、服の安売りチェーンやスーパーの洋服売り場に、「裏起毛」という独特の用語があふれるようになります。

 

「ウラキモウ」という読み方が「裏鬼門」に似ているせいなのか、私はその言葉を見るたびに、そこはかとない不気味さを感じてしまうのですが、一方で、裏に毛が立っている、という言葉の意味からは、ちょっと生々しく、それでいて、どこかコミカルなイメージも浮かんできます。

 

そんな奇妙な言葉が、まるで何かの呪文みたいに売り場を埋め尽くしている様子を目にしていると、私たち人間の、暖かさへの執念がむき出しになっているみたいで、滑稽なようでもあり、切なくもあるような、何だか複雑な笑いがこみ上げてくることがあります。

 

もちろん私も、暖かさへの執着を抱える人間の一人です。歳をとるにつれて、襟や袖などの隙間や、薄い生地を通して侵入してくる冷気に敏感になってきました。というか、体が熱を生み出す力が衰えてきたのか、寒い場所にいると、その冷たさに負けて、全身がじわじわ凍えていくような感じがします。特に、節約のために暖房を消した部屋の中で長時間パソコンにかじりついていたりすると、体が芯まで冷え切ってしまいます。

 

そうなる前に、体を動かす家事をするとか、もっと運動をしてみるとか、やるべきことはいろいろあるのでしょうが、長年にわたって染みついた生活パターンはなかなか変えられません。結局、いちばん安易な防寒対策ということで、ここ数年、「裏起毛ワールド」に足を踏み入れつつあります。

 

裏起毛の服は、内側がフワフワ、モコモコしていて、着た瞬間から暖かさを感じます。厚手のものになると、まるで毛布を体に巻きつけているようです。暖かい場所にいたり、体を常に動かすような場合は、むしろ暑苦しくなってしまいますが、寒い部屋でずっと座りっぱなしみたいな生活パターンなら、かなり快適です。

 

といっても、これは別に、怠け者のためのアイテムというわけではありません。寒さが厳しくて、とにかく厚手の防寒着が必要な土地などいくらでもあるし、足腰にトラブルがあって歩いたり動き回ったりすることができず、体が温まらないとか、仕事のために、寒い場所で一日中じっとしている必要があるなど、日頃から裏起毛の服を愛用している人には、さまざまな事情があるのでしょう。

 

また、気候や体調や生活パターンとは関係なく、暖房費を徹底的に節約するためというニーズもあると思います。実際、最近の防寒テクノロジーの進歩はすごいので、寒さの厳しい土地でなければ、さまざまな防寒グッズを使いこなすことで、一日中、ほぼ暖房なしで過ごすことができるのではないでしょうか。

 

その点、化繊の裏起毛というのは、人間が何万年もの間、試行錯誤を繰り返しながら生み出してきた、安価で手入れのしやすい、最新版の毛皮のようなものなのかもしれません。

 

それに、裏起毛の服は、まわりが寒いときに暖かな服に身を包み、ぬくぬくするからこそ感じる幸せみたいなものも味わわせてくれます。

 

世界には、暑くもなく、寒くもない、常春と呼ばれるような理想的な温かさが一年中続く土地がありますが、そういうところで長年暮らしていると、かえってそのありがたみをなかなか感じられないのではないでしょうか。

 

逆に、日本のように季節のハッキリとした土地では、蒸し暑さの中で涼しい風を感じたり、寒い夜に温かい湯に漬かるようなとき、ふとした幸せを感じたりします。身を切るような寒さの中でこそ、私たちは裏起毛のありがたさをしみじみと実感できるし、その温もりを通じてじわじわと感じる幸せは、ささやかなようでいて、実はけっこう大きなものなのかもしれません。

 

私は、もう若くはないし、今さら冬の寒さに正面から立ち向かおうとも思いません。これからは、中高年の先輩方にならって、裏起毛ワールドにさらに深く分け入り、さまざまな素材の着心地を試しつつ、ぬくぬくとした幸せに身をゆだねたいと思います。

 

 

JUGEMテーマ:日記・一般

at 20:24, 浪人, つれづれの記

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