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自分の好奇心と折り合う(2/2) 情報源のコントロール

自分の好奇心と折り合う(1/2) ネット利用時間のコントロール

 

(続き)

 

◆ どんどん増えていく情報源

 

前回は、自分の好奇心との折り合いについて、ネットの利用時間という側面から考えてみました。

 

今回は、もう一つの側面として、ネット上の情報源をどう絞り込むかについて書いてみたいと思います。

 

私の場合、今のところは、SNSとか、動画やゲームに時間をつぎ込んでしまうことはないのですが、いまだにRSSリーダーを愛用していて、そこにかなりの時間を費やしているため、ネットとのつき合いを適正化しようとするなら、何よりもまず、そこに手をつける必要がありました。
ウィキペディア 「フィードリーダー」
記事 RSSリーダーの「断捨離」

 

これは、誰しもそうだと思いますが、RSSリーダーを使っていると、登録したサイトの数は増える一方で、減ることはほとんどありません。

 

RSSリーダーは、自分のお気に入りサイトの更新情報を効率よく集めるための道具なので、当然、登録してあるのは自分にとって大事な情報源ばかりです。尊敬したり注目している人物の個人サイトで、新しいメッセージが発信されるのを楽しみにしていることもあれば、自分にとって非常に大切なテーマを扱っているサイトもあります。

 

また、長年にわたってずっと読み続けてきたサイトもあり、今では自分の興味関心が薄れ、記事をほとんど読まなくなっていても、すでに深い愛着があるので、簡単には登録解除に踏み切れなかったりするのです。

 

しかし、そんなサイトでも、登録解除しないかぎり、RSSリーダーは記事の見出しを自動的に拾ってきてしまいます。そして、どんな見出しであっても、人の注意を引き、本文を読んでもらうための工夫がたっぷり詰め込まれているので、少しでも目に入れば、反射的にクリックしたくなります。

 

今まさに興味があるテーマはもちろん、今は興味がなくても、かつては大いに熱中していたテーマなら、面白そうな見出しでちょっと気持ちをくすぐられるだけで、頭の中のいろいろな記憶ともつながり、懐かしさと好奇心で、読みたい気持ちが抑えられなくなります。結局、時間さえ許すなら……と自分に言い訳しつつ、いくつもの記事を読みふけってしまうのです。

 


◆ 一期一会だからこそ、気軽に読み流せない

 

もちろん、いちいちその場で記事にかじりつくのではなく、せめて、読みたい記事のリンクなり本文なりを保存しておいて、後で他の記事と一緒に読むようにすれば、多少は効率がよくなります。

 

実際、私もかなり前から、そういうやり方を実践しています。記事をすぐに読み始めず、いったん保留してクールダウンすれば、見出しにつられて余計な記事を読んでしまう可能性も少しは減るだろうし、保存した記事に優先順位をつけて、読むか読まないかを改めて選別することもできます。

 

しかし、そうやって保留した記事も、結局は、その日のうちに読み切らなければならない、というプレッシャーがあります。

 

RSSリーダーには、新しい見出しがリアルタイムで次々に追加されていくので、今日、膨大な見出しのリストを全部チェックしたとしても、明日にはまた、同じくらい膨大な見出しをチェックしなければなりません。そして、見出しに目を通すにも、実際に記事を読むにも、それなりの時間が必要なので、今日の分の記事を読み残してしまうと、明日以降の見出しチェックや、記事を読む時間にしわ寄せがいくことになります。

 

記事を古いものから順番に片づけていたら、そのうち、過去の読み残しを処理しているだけで、その日が終わってしまうことにもなりかねません。それを回避したいなら、毎日、その日の分の記事は、寝る前までに何としてでも読み切ってしまうか、それとも、読み切れなかった分は、いつかヒマができたら読むという名目で、そのまま放置するしかないのです。

 

冷静に考えれば、どうしてそこまで必死になって記事の山と格闘しなければならないのだろう、と思わなくもないのですが、とにかくそうやって毎日時間に追われ、自分の自由時間のほとんどをつぎ込んでひたすらネットの探索を続けているうちに、目の前に現れる見出しの一つひとつと、それこそ一期一会のような思いで向き合うようになりました。

 

ズラッと並んだ見出しにすばやく目を走らせながら、読むか読まないかを即決していくわけですが、それはほとんど直感的なもので、ごく一部の記事だけを拾い出しつつ、意識はどんどん次の見出しへと流れていきます。

 

もちろん、その判断をやり直す時間はないので、いったん読まないと判断されれば、その記事を目にする機会はもう二度とないでしょう。後日、ネット上で多くの人から注目を浴び、あちこちで引用されたりして、嫌でも目に入るようになったりすれば別ですが……。

 

ある記事を読むかどうか、ほんの一瞬の判断が、つねに最初にして最後の判定である以上、自分が読むべき記事は決して見落としたくない、と思うし、いったん読むと決めた記事は、とにかく自分の直感が読めと命じたのだから、最後までしっかり目を通してみよう、という気持ちになります。

 

まあ、それが変な責任感につながってしまうのか、見出しや記事を気軽に読み流すことができず、何とか時間をやりくりして、その日のうちに記事を読み切ろうと頑張ってしまったり、それが、かなりの心理的な負担にもなっているのではないかという気がします。

 


◆ RSSリーダーの登録サイトを絞り込む

 

いずれにしても、毎日更新されるネットの情報を追いかけ、それを消化するだけのために、一日に何時間も費やすようでは、やはり問題があると言わざるを得ないでしょう。

 

そして、それはもしかすると、自分が今、切実に求めているのは何なのか、そのためにどれだけの時間的・精神的なコストをかけられるのか、明確な方向性と、それに基づく優先順位がはっきりしていない、ということなのではないでしょうか。

 

前回の記事で書いたように、自分の自由時間には、「効率」という概念をあまり持ち込みたくはないのですが、RSSリーダーの利用に関しても、もう少しビジネスライクに、情報源や読むべき記事を絞り込むための基準を明確化する必要があるのかもしれません。

 

自分自身の方向性をいますぐ明確にするのはさすがに無理にしても、せめて、RSSリーダーに登録するサイト数の上限を決めるなどして、自分の目に触れる見出しの数を、できるだけ減らす必要はありそうです。

 

そのためには、面白そうだと思ったサイトを「お試し」感覚でどんどん登録するのではなくて、一つ登録したら一つ以上のサイトを削除するみたいに、自分なりに、かなり厳しいルールを課していかなければならないのかもしれません。

 

また、「〇〇ビジネス」とか、「〇〇オンライン」みたいな、大手の総合サイトを登録していると、毎日大量の更新があるだけでなく、好奇心をあからさまに刺激してくる見出しに、つい注意が奪われてしまうので、思い切って、そういうサイトの登録を解除してしまう、という方法もあるでしょう。

 

まあ、総合サイトを通じて雑多な記事に触れることで、自分の世界が少しずつ広がっていく面もないわけではないのですが……。

 

それに加えて、毎日見出しのチェックをするためのRSSリーダーと、これまでに自分が集めてきた、信頼できる情報源を整理・保存しておくためのRSSリーダーとを、はっきり分けておくべきなのかもしれません。

 

後者は、個人的な思い入れが深すぎて、なかなか削除できない情報源をとりあえず保存しておくのに役立つし、何か重大な出来事があったりしたときに、自分が信頼する人々がどのような見解を示しているか、すぐに調べることもできます。

 

しかし、ふだんからそういうサイトの情報までもれなくチェックしていると、あまり必要のない記事をつい読みふけって、いくらでも時間を費やしてしまうことになるでしょう。

 


◆ RSSリーダーの問題点

 

あと、忘れてはならないのは、RSSリーダーには、自分で選び、登録したサイトからの情報ばかりに注意が偏りがちになる、という弱点があることです。

 

もちろん、登録するサイトをバランスよく配分するなど、自分でできる対策もありますが、それでも、RSSリーダー経由でやってくる情報は、ネットが24時間生み出し続けている膨大な情報の、ごくごく一部に過ぎません。お気に入りのサイトばかりに注目していると、今、世界で起きている重要な動きを見落とす危険性があるかもしれません。

 

RSSリーダーなどのツールを駆使することで、私たちは好奇心を大いに満足させられるようになってはいますが、便利だからといってそれに頼りすぎてしまうと、気がつかないうちに自分の視野を狭めてしまう可能性もあるのです。

 

だとすれば、日頃から特定の情報源をウォッチし続けるよりも、逆にそういうものは捨てて身軽になり、テレビや新聞とか、大手サイトで読める一般向けの記事とか、私たちの日常会話など、特に注意を向けていなくても、四方八方から何となく飛び込んでくる情報に、敏感に反応できるようにしておけばいいのでしょうか?

 

私は、やはり、それだけでは十分ではないと思います。

 

どこにでも転がっているような情報の中から、自分にとって意味のあることを読み取って役立てるためには、むしろ、そうした判断を可能にするだけの十分な基盤がなければなりません。そのためには、好奇心に振り回され、失敗を重ねながらも、自分なりの経験にもとづいた世界観や価値観を、少しずつ築き上げていく必要があるでしょう。

 

私たちそれぞれがネット上で拾い集める情報は、たしかに偏っているかもしれませんが、たとえそうだとしても、それらは、誰かが用意してくれた情報を受け身で浴びているよりも、ずっと多くの意味を私たちに与えてくれるだろうし、この世界がどんな風になっているのか、そこで自分はどう考え、どう行動していくべきなのか、自分なりに判断するための基盤づくりに大いに役立つものでもあるはずです。

 

実に常識的な結論かもしれませんが、私たちは、RSSリーダーなどの情報収集ツールの長所と短所を踏まえ、自分の好奇心をそれなりに満足させつつも、情報源があまり偏らないように、そして、情報量が増えすぎて日常生活を圧迫しないように、バランスをとっていく必要があるのでしょう。

 

そして、そうしたバランス感覚自体も、私たちそれぞれがネット世界で試行錯誤をする中で、少しずつ育まれていくのだと思います。

 


◆ 日常世界に開いた底なしの穴

 

ということで、先日、愛用しているRSSリーダー(feedly)に登録したサイトを大幅に見直す作業を始め、すでに興味がなくなったものや、情報量の多すぎる大手サイトなどを、思い切ってどんどん削除しました。

 

もっとも、バックアップは取ってあるので、後悔しそうになったら、元の状態に戻すこともできますが……。

 

そうやって作業がひととおり終わるころ、登録したサイトに関連するサイトをオススメする機能を見つけてしまいました。この機能は、ずっと前から導入されていたようなのですが、毎日、膨大な見出しのリストをチェックするのに精一杯で、ぜんぜん気づかずにいたのです。

 

どのくらい使える機能なのか、オススメのサイトをチェックしているうちに、また新たにいくつかのサイトを登録してしまいました。

 

RSSリーダーの運営企業だって、これまでのユーザーを引き留め、新規ユーザーを呼び込むために、いろいろと必死なのでしょう。そして、そうやってサービスが便利で快適になればなるほど、いつもの「ネット散歩」をサクッと切り上げるのがますます難しくなり、ヘトヘトになるまでネットから出てこられなくなってしまうのです。

 

考えてみれば、ネット世界というのは、日常生活の中にぽっかりと口を開けた、底なしの穴みたいなものです。

 

入り口の近くからぱっと見た限りでは、それは、日常の世界がそのまま続いているだけのように見えます。だからこそ、自分の力だけで何とかなると思ってしまうのでしょう。

 

しかし、それなりの時間を中で過ごし、さらに奥へと進んでいこうとするなら、やはり、自分がいま対面しているのは、これまでに自分が身につけた世界観や価値観だけでは十分に対処し切れない、本当に異質な世界なのだということに、できるだけ早く気がつく必要があるのではないかと思います。

 

そして、それに気がついたときに初めて、インターネットという異質な世界にどっぷり浸かっていても、自分の心身のバランスを保ち、生活を破綻させないだけの技術を学んでおきたいという、謙虚な気持ちが生まれるのかもしれません。

 

 

JUGEMテーマ:インターネット

at 19:56, 浪人, ネットの旅

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