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九龍城「探険」

もう15年以上前になりますが、九龍城内を「探険」したことがあります。

1991年に友人と香港に行ったときのこと、日本人の溜まり場として有名な某ゲストハウスで雑談していて、九龍城の話になりました。

いろいろと聞いてみると、「今はそれほど危険な場所でもないらしい」ということでしたが、「東洋のカスバ」「魔窟」「無法地帯」というイメージしかなかっただけに、さすがに一人で行く気にはならず、友人、宿に泊まっていた人達の総勢4人で「探険」隊を組むことにしました。

バスで「城」の近くに着くと、すぐに何か異様な塊が見えました。黒ずんだビルが隣同士密着して、四角い巨大な物体のようになっています。

一階には、入れ歯屋か、歯医者なのか、なまなましい歯の絵を描いた看板がいくつも掛かっていて、変な想像力をかきたてます。

いくつか入り口のようなところがあって、暗いトンネルになっていました。我々はこの時点で相当ビビっていましたが、入り口まで戻れるところまでしか入らないこと、何かあったら合言葉を叫んで入り口まで全力で逃げることを打ち合わせて、中に入りました。

トンネルの中は薄暗く、曲がりくねっていて、地面も湿っています。実際はトンネルではなく、ビルの隙間なのですが、頭上に建物が張り出しているのか、何かがごちゃごちゃと詰まっている感じで、光が差し込まないのです。

所々で、はるか頭上から滝のように水が流れ落ちています、水道の水なのか、下水なのかわかりません。

途中に店のようなものもあり、普通のオジサンと思われる人とすれ違ったりしましたが、思ったほど人の気配もなく、静かでした。

我々は少し大胆になって、屋上まで行ってみることにしました。階段を登っていくと、上のほうは、日は差さないものの、日本の団地のような雰囲気で、子ども用のおもちゃが外に置いてあったりと、生活の匂いがします。

ドアに香港当局の張り紙で封印しているところもいくつかあって、すでに立ち退きが進んでいるようでもありました。

屋上に着くと目の前が開け、九龍城の全体像が見えました。我々がいた場所は、「城」の外周に近い部分で、その内側も奥までびっしりと建物がつづいているのですが、中心部に中庭のような空間もあって、ビルの「城壁」で中庭を取り囲んでいるような感じでした。

全てのビルの屋上に、見渡す限りテレビの黒いアンテナが林立していて、何か巨大な生き物のうぶ毛のようです。

そこへ、巨大なジェット機が轟音を上げて迫ってきて、頭上をかすめるようにして、すぐ近くのカイタック空港に降りていきました。まるで滑走路に立っているような迫力で、4人ともしばらく呆然としていました。

屋上で記念写真を撮って、下に降り、確認しておいた最短ルートで「城」の外に出ました。たぶん全部あわせても移動距離は数百メートル、我々のささやかな「探険」は終わりました。

九龍城はすでに解体され、飛行場も移転しました。今は現地には過去の痕跡しか残っていないのでしょう。

ただ、九龍城が、国際政治と社会状況の産物だったとすれば、世界のどこかにいずれまた、同じような不思議な空間が生まれるのかもしれません。

at 20:30, 浪人, 地上の旅〜中国

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