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美しいから欲しいのか、高価だから欲しいのか

先日、非常に面白いだけでなく、実に考えさせられる記事を読みました。

 

この地球の地下深くには、途方もなく大量のダイヤモンドが存在するらしいが、残念ながら、現代のテクノロジーではそれを掘り出すことができない、という内容です。

 

1000兆トンのダイヤモンドが地中深くに眠っていることが判明 GIGAZINE

 

今の私たちにとって、ダイヤモンドはとても貴重な宝石ということになっていますが、それはあくまで人間側の事情によるもので、宇宙的なスケールで見れば、それはごくごくありふれた鉱物にすぎないし、未来の人類が宇宙に進出していくようになれば、ダイヤモンドなんていうのは、砂利の代わりに庭に撒くような代物になってしまうのかもしれません。

 

というか、現時点でも、技術の進歩によって、天然モノとほとんど変わらないレベルの人工ダイヤを安価に製造できるようになり、専門家でもその違いを区別するのが難しくなりつつあるようです。
記事 古酒促成

 

もしも将来、簡単に採掘したり、いくらでも生産できるようになったりして、ダイヤモンドが道端の石みたいにありふれた存在になるとしたら、それでも人々は、今みたいにそれを美しいと感じることができるのでしょうか。

 

今、私たちがダイヤモンドに感じている美しさは、カット技術の進歩とか、業界による高級イメージの刷り込みの成功もあるでしょうが、それ以上に、希少さによる経済的な価値の高さによって、実際以上に輝いて見えてしまっている部分が大きいのではないかという気がします。

 

私たちがダイヤモンドの輝きに魅せられ、何としてでも手に入れたいと思うとき、それは、ダイヤモンドというモノ自体を欲しているというよりは、それが象徴する豊かさのイメージや、希少なものを独占し、誇示できる社会的地位の証しこそを求めているのかもしれません。

 

そして、そうした欲求を生み出す人々の価値観自体も、歴史的に大きく移り変わってきました。ダイヤモンドに限らず、鉄などの金属にしても、コショウなどのスパイスにしても、ガラスや陶器などの工芸品にしても、時計などの精密機械にしても、それぞれの時代と社会において、そうした希少で価値あるとされるモノに多くの人々が魅せられ、それらを求めるあまり、ときには悲惨な争いさえ起きました。

 

しかし、人類のテクノロジーの進歩、生産の拡大やコストダウン、流通ルートの整備などによって、それらはより多くの人が簡単に手に入れられる、ありふれた存在になっていきました。

 

考えてみれば、それは当たり前の話で、みんなが欲しいと思う素晴らしいモノだからこそ、それらをより安く、より多くの人に届けるために、大勢の人々によってさまざまな探求や工夫がなされ、そうした無数の努力の積み重ねの結果、今の豊かな消費社会が出来上がっているわけです。

 

あるモノが広く行き渡ることによって、その社会的な価値を失えば、次はまた別のモノが社会的な注目を集め、多くの人が欲しがることによって価値が高まり、さまざまな研究開発や企業努力の結果、大量に供給されるようになり、それらもまた、やがて社会的な価値を失っていく、というプロセスが繰り返されていきます。

 

そしてまた、その過程を通じて、世の中の仕組みや人々の価値観自体も少しずつ変化し、やがては社会全体を大きく動かしていくことになります。

 

ダイヤモンドも、他のさまざまなモノと同様、大量採掘や大量生産によって、これからどんどん社会的な価値が失われていき、やがては、ちょっとした装飾品として、便利な素材として、どこでも当たり前に使われる存在に変わっていくに違いありません。

 

ただしそれは、今すぐという話ではないのでしょう。

 

数十年後、あるいはもっと遠い未来にそうなる見込みは高いと思いますが、とりあえず現時点で、ダイヤモンドが希少な存在であるという事実は揺るぎません。そして、未来がどうであろうと、今この瞬間に貴重なモノであれば、やはり多くの人がそれを渇望するのかもしれません。たとえ、この地面の下にダイヤがゴロゴロ埋まっていようと、それが将来ごっそり掘り出されることになろうと、今、ダイヤを欲しいと思う人たちが、それをあきらめる理由にはならないでしょう。

 

もっとも、彼らが将来、タンスの奥にしまい込んでいたダイヤを換金しようとしても、そのときにはすでにすっかり価値が暴落した後で、まるでガラス玉みたいな扱いになっているかもしれませんが……。

 

 

JUGEMテーマ:日記・一般

at 19:07, 浪人, つれづれの記

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