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『ウェブ時代をゆく ─ いかに働き、いかに学ぶか 』

Kindle版はこちら

 

評価 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります

この本は、ベストセラーになった『ウェブ進化論』の姉妹篇ともいうべき本です。
『ウェブ進化論』の紹介記事

『ウェブ進化論』は、「リアル世界」とは別の法則で動く「ネット世界」の出現がもたらす大変化の本質について洞察した本でしたが、今まさにその変化の只中に生きている私たちにとって、より重要な問題は、私たち自身がこの大変化をどうサバイバルするのか(どうやって飯を食い続けていくのか)、これからの時代をどういう心構えで生きていけばいいのかという問題でしょう。

本書はまさにそれをテーマとしています。「もうひとつの地球」であるネット世界が、時間と距離の制約を越えて世界中の人々を結びつけ、「志」を持つ「個」をエンパワーするインフラとして急速に整備されつつある中で、その素晴らしいインフラを最大限に活用することを前提に、私たちがどのように学び、どのような働き方を目指していくべきかについて、この本には数多くの前向きなアイデアが詰め込まれています。

『ウェブ進化論』同様、この本もオプティミズムに貫かれていますが、そこには、インターネットの特性に対する深い理解に加えて、ネット利用者自身の積極的な貢献を通じて、大きな可能性と同時に危険にも満ちたネット世界を、より良いものに変えていきたいという狙いがあるのでしょう。

私個人としては、ネット進化がもたらす新しい職業の可能性や、新しい社会のあり方について、梅田氏の提示するビジョンに強い共感を覚えます。

 

 バーチャル経済圏や境界領域の発展とともに、日本社会にも新しい職業環境が多様に花開く方向性を信じたいと思う。学歴より「いま何ができるか」が問われ、組織を出たり入ったりも自由、再挑戦はいつでも可能で、「個」が多様な生き方を追求できる社会。プロスポーツ選手のように若いときに一生分稼ぐビジネス世界の可能性も開かれる一方、オープンソース的に参加できる職業コミュニティも増える。専門性や趣味の周囲でそれほど大きくはないけれどお金が回り、そこそこ飯が食えるチャンスが広がり、社会貢献も個性に応じてできる。そういう新しい職業環境が大いに拡がっていくイメージを、未来のビジョンとして持ちたいと思うのである(第七章)。


こうした新たな社会の萌芽ともいえるオープンソースの世界においては、自分の「志向性」をはっきりと見いだし、「好きを貫く」ためにハードワークも厭わない人間が大きな成果と見返りを得ています。金銭的な報酬や組織の強制力によって働いている人間は、そうした人々に太刀打ちできないでしょう。

だとすれば、私たちにとっては、どこにより多くのお金が回っているかを気にする以上に、どうやって自分の志向性を見い出していくかがより重要な課題となるのではないでしょうか。しかもこれは、各人による主体的で内面的なプロセスであり、誰かから指示してもらったり、学校のカリキュラムを通じて学べるようなものではありません。

そういう意味で、私がこの本の中で最も興味深かったのは、自らの志向性を発見する手段としての「ロールモデル思考法」の解説です。

 

 ロールモデル思考法とは、ただ「誰かみたいになりたい」「こんな職業につきたい」という単純な願望から一歩進み、自分の志向性をより細かく定義していくプロセスである。
 世に溢れる「人の生き方」や「時間の流れ方」に興味を持ち、それを自分の問題として考える。外界の膨大な情報の無限性を恐れず、自分の志向性と波長の合う信号を高速でサーチし続け、自分という有限性へマッピングする。波長の合う信号をキャッチできたら、「時間の使い方」の優先順位を変えてコミットして、行動する。身勝手な仮説でもいいから、これだと思うロールモデルにのめりこんでみる。行動することによって新しい情報が生まれ、新しい人々と結びつき、また新しいロールモデルを発見することになる。ロールモデルを発端に行動し、さまざまな試行錯誤をする中で、意欲や希望の核が生まれ、世界は広がっていくだろう。「好き」な対象さえはっきりすれば、ネットはそれを増幅してくれもする。個の成長とともに、ロールモデルはどんどん消費し新しくしていけばいい。どんな偉大な人物であろうと、自分のために消費してしまえばいい。探し、試し、客観視し、必要なら卒業し、動く。人生の局面に応じたたくさんのロールモデルの引き出しを持ちながら、それを灯台代わりに生きていくのである。
 いちばん重要な判断を、直感に基づくロールモデル思考法で行い、その後のサバイバルには緻密な戦略を立ててこつこつと執行するのである。


もちろんこれだけではピンとこないかもしれませんが、この本には梅田氏が自らの志向性を発見してきたプロセスも具体的に語られていて、非常に参考になります。

漠然とした「自分探し」の域をはるかに超えて、すさまじいまでに真剣で緻密なそのプロセスには驚かされますが、もしかするとこれからの時代には、それだけ真摯に自分と向き合う覚悟が多くの人に必要とされるようになるのかもしれません。

ネット進化の今後については、まだまだ分からないことの方が多いし、この本で提示されたビジョンについても、まだ確実に実現するとは言えない状況ですが、私たちの多くがこれから先何十年も生きていくことを考えれば、そうしたビジョンやさまざまなアイデアについて、自分自身の生き方と重ねて深く考えてみる価値は十分にあると思います。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします

 

 

JUGEMテーマ:読書

 

at 20:11, 浪人, 本の旅〜インターネット

comments(2), trackbacks(0)

『フラット革命』

評価 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります

本書は、ITとインターネットの分野で精力的な取材を続けているジャーナリストの佐々木俊尚氏が、ネット世界の出現が引き起こしつつある社会の大きな変化(フラット化)と、その先に姿を見せ始めた新しい社会の枠組みについて、日本における具体的な事例を手がかりに描き出そうという試みです。

1990年代後半以降のインターネットの爆発的な普及によって、マスメディアによる情報の独占は崩壊し、匿名言論や多数のブロガーの出現によって、言論の徹底的なフラット化が進みつつあります。それは「誰が言ったか」、つまり発言者の所属する組織や肩書きよりも、「何を言ったか」が問われるような世界が出現しつつあることを意味します。

また、佐々木氏によれば、「戦後社会」と呼ばれる日本の古い共同体的な枠組みが、2000年代前半に完全に終焉を迎えました。日本の経済発展を支えてきたその堅固な枠組みは、私たちに息苦しさと隷従を感じさせるものでしたが、それは同時に、<われわれ>という共同幻想による安心感をも与えてきました。

いま、帰属すべき共同体を失った膨大な数の人々が、よるべなく漂流を始めています。

 人々はかつて、共同体に支えられ、マスメディアを経由することで、世界との強固なつながりを持っていると信じられた。だが共同体は温かい繭ではなくなり、マスメディアの<われわれ>幻想も消滅した。この結果、共同体によって提供されていた世界認識システムは崩壊してしまった。いまやコミュニティやマスメディアを経由して、世界を認識することはできなくなってしまったのだ。
 だから人々は、自分自身の力によって、ひとりで世界認識へと立ち向かわなければならない。
 だが自分自身でそれを引き受けるということは、とても厳しくつらい。だから成功する人もいれば、失敗する人もいる。


そして本書の後半では、フラット化した世界における公共性(異なる意見や異なる立場にいる人たちのさまざまな意見をとりまとめ、民主主義の中へと落とし込んでいく社会の機能)の問題が取り上げられています。

マスメディアという権威の中心が力を失ったあと、来たるべき社会では、誰が、どのような形で公共性を担っていくのでしょうか。それとも、そのようなものは失われ、社会はコントロールを失った混乱状態に陥ってしまうのでしょうか。

佐々木氏は、すべての当事者が情報のやりとりに参加し、中央のコントロールなしに直接意見をぶつけ合い、評価、分析、批判、反論といったさまざまな活動がすべてオープンにされ、その過程のすべてが、社会を構成する<わたし>たち全員の前に可視化されることが、新たな公共性を生み出していくのだと考えます。

そしてそれは、ラディカルな民主主義という、民主主義の新たな可能性につながっていくのだと佐々木氏は言います。

もしそれが、フラット化の先にある新たな社会の姿であるとすれば、そこでは多様な価値観や考え方を持った人たちが同じ社会を構成し、「友愛も隷従も存在しないけれども、しかしそこにお互いの存在を許容し、議論として対決し続ける」ような、「闘技的民主主義」が発展していくことになるのかもしれません。

本書は、インターネットの普及がもたらす社会の大変化という、非常に大きなテーマを扱っているのですが、佐々木氏自身がその渦中に巻き込まれた「ことのは事件」を始め、彼自身による取材に基づいた具体的な事例に沿って、とても読みやすく、分かりやすく書かれています。

ただ、私個人としては、「フラット革命」の行く末に関しては、私たちの想像をはるかに超える大変化が待ち構えているような気がしています。

例えば、この本の中では触れられていませんが、「戦後社会」の終焉やフラット化といった、外なる世界の大変動と平行して起きている、スピリチュアリズムの隆盛やオカルトブームといった、私たちの内なる世界の大変動のことも考え合わせると、こうした変動の行き着く先は、ラディカルな民主主義にとどまらず、私たちが世界を認識する枠組みのもっと根本的な変化につながっていくような気がします。

いずれにしても、佐々木氏の言うように、その変化は既に後戻りのできないところまで来てしまいました。

この先に待っているものが何であれ、私たちにできることは、ポジティブな姿勢でそれと向き合い、一人ひとりが新しい世界で何とか生き延びる方法を見い出すことしかなさそうです……。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします



JUGEMテーマ:読書

at 17:24, 浪人, 本の旅〜インターネット

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『フューチャリスト宣言』

評価 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります

本書には、『ウェブ進化論』の著者梅田望夫氏と、TVでもおなじみの脳科学者茂木健一郎氏による対談と、それぞれが若い人々へ向けて行った講演の記録が収められています。インターネットが人間社会にもたらす大きな可能性と、すでに起こりつつある社会の根本的な変化について、二人は前向きに、熱く語っています。

梅田氏は『ウェブ進化論』の中で、インターネットの急速な普及によって、ここ10年ほどの間に、従来の社会とはまったく別のルールで動く「もうひとつの地球」が出現しつつあることを示しましたが、この対談では、その大変化にどう対応していくべきなのか、私たち一人ひとりが考える上でヒントになりそうなさまざまなアイデアを提示しています。

ちなみに、梅田氏は、この本のタイトルにある「フューチャリスト」という言葉について、次のように書いています。

フューチャリストとは、専門領域を超えた学際的な広い視点から未来を考え抜き、未来のビジョンを提示する者のことである。
 では私たちは、何のために未来を見たいと思うのか。
 「自分はいま何をすべきなのか」ということを毎日必死で考えているから、そのために未来を見たいと希求するのである。
 私たちはいま、時代の大きな変わり目を生きている。それは、同時代の権威に認められるからという理由だけで何かをしても、未来から見て全くナンセンスなことに時間を費やし一生を終えるリスクを負っている、ということだ。
 同時代の常識を鵜呑みにせず、冷徹で客観的な「未来を見据える目」を持って未来像を描き、その未来像を信じて果敢に行動することが、未来から無視されないためには必要不可欠なのである。
(梅田望夫「おわりに」より)


新聞やテレビなどの従来型メディアは、インターネットの危険や混乱を強調しがちですが、いくらネガティブに考えてみたところで、もはやインターネットのなかった時代に後戻りはできません。そうだとしたら、「そこでリテラシーを持って生きのびる術をそれぞれの人が身につけなければいけない(梅田氏)」のです。

私もその通りだと思います。「黒船がやってきた」以上、覚悟を決めて、新しい生き方に前向きに取り組むしかないようです。いま世界で何が起きているのかを冷静に把握し、ポジティブであり続けようという強い意志をもって、「ネット世界」と「リアル世界」の間でバランスをとりながら、問題を一つひとつ克服していくしかないのでしょう。

一方、茂木氏は、インターネットの出現は「知の世界のカンブリア爆発」であり、脳の使い方を劇的に変えるという意味で、人類にとっては言語を獲得したとき以来の大変化になるのではないかと語っています。

彼はネットの開く可能性に心底ワクワクしているようです。そして、「命を輝かせるためには、インターネットの偶有性の海にエイヤッと飛び込まないと駄目」なのだと言います。

二人ともそれぞれの専門分野で第一線の仕事をこなしながら、多くの人々・情報に能動的に接し、「自分はいま何をすべきなのか」を絶えず考え続けています。また、ネットの可能性に賭け、新しい試みに果敢にチャレンジし、それを「人体実験」的に自らの生き方に適用しようとしています。

二人のような社会への貢献はとても無理だとしても、その生き方について、私が学ぶべきことは多いと感じました。


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします

at 18:52, 浪人, 本の旅〜インターネット

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