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『意識のかたち―現代に甦る天才の秘密』

意識のかたち―現代に甦る天才の秘密
意識のかたち―現代に甦る天才の秘密
高岡 英夫

評価 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります

著者の高岡氏は「ゆる体操」の提唱者として有名ですが、実は幼少の頃より武道やヨガを実践し、そこで培われた非常に高度な「身体意識」を学問的に体系化するという作業を長年にわたり行なってきた人でもあります。

高岡氏によれば、宮本武蔵とイチローには、身体意識の構造において共通点があるといいます。イチローが一般のアスリートにはできない、天才的な身のこなしをすることは万人が認めるところでしょうが、それが武蔵と同じだというのは驚きです。

そもそも、数百年も前に生きた人間の身体の使い方を再現し、分析できるということ自体が驚きなのですが、なぜそのようなことが可能なのか、本書にその概要が述べられているのです。

「身体意識」とは高岡氏の造語ですが、これは身体やその周囲に配置される意識を表わしています。そして、例えばピアニストは手指の意識が「濃く」、スキーヤーなら手よりも足の意識の方が「濃い」というように、専門とする分野や男女の違い、あるいは民族・文化の違いによって、身体に配置される意識の濃淡やその構造には違いが出てくるというのです。

イチローなど、天才といわれるアスリートには、通常では見られない特別な身体意識の構造=ディレクト・システムを見ることができます。システムを構成する因子としては、いくつかのディレクターがあるのですが、本書で中心的にとりあげられるのが、「ジンブレイド」と高岡氏の名付けたディレクターです。

具体的には「土踏まずを通り脚の裏側を上行する曲線状の意識」を指すわけですが、このディレクターを発動することにより、「超絶的に素晴らしく切れ味の滑らかな動きが可能」になるというのです。

本書の第一部「武蔵とイチローをつなぐもの」では、ジンブレイドがなぜそのような素晴らしい動きを可能にするのか、そのメカニズムについて解説されています。

さらに驚くべきことに、ジンブレイドが現代のごくわずかのトップアスリートの中にしか見られないのに対し、高岡氏は、江戸時代の人間にとってジンブレイドはかなりありふれたものだったと言うのです。

本書の第二部「日本人は皆達人だった」では、その理由として、宮本武蔵らの優れた武術家・武士に発達したディレクト・システムが、他の職業や階層に伝わっていったとし、武術の伝書類や浮世絵などをその根拠に挙げているのですが、私には鍛えられた目がないので、その真偽についてコメントできる立場にはありません。

ただ、第三部「日本語に隠された秘密」で、高岡氏が、江戸時代の人々の高い身体意識の水準を支えたものとして、豊富な「身言葉」(身にしみる、目配り、腰で担ぐ等、身体の部分と人間の能力・経験・認識を結びつけるような言葉)による社会的な「身体意識強化装置」が働いていたとしているのには説得力があります。

そして、もしそうだとすると、現在の日本人は「身言葉」の多くを失い、半ば無意識のうちに世代から世代へ伝承されてきた身体意識の広く深い世界を失ったことで、今や危機的な状況にあるということになります。

この本は、対談形式を使って読みやすく工夫されているものの、目新しい概念が多いので、読むのに抵抗を感じる方もおられると思います。それでも、長年の経験に裏付けられた高岡氏の理論には読むだけの価値があると思います。氏の他の著作も読んでみたくなりました。


高岡英夫著 『仕事力が倍増する“ゆる体操”超基本9メソッド』 の紹介記事
高岡英夫著 『図解トレーニング 身体意識を鍛える』 の紹介記事


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします

at 19:36, 浪人, 本の旅〜身体技法

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『仕事力が倍増する“ゆる体操”超基本9メソッド』

仕事力が倍増する“ゆる体操”超基本9メソッド―「身体経営術」入門
仕事力が倍増する“ゆる体操”超基本9メソッド―「身体経営術」入門
高岡 英夫

評価 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です

この本は、SHさんのブログ「美しさの中を歩め -- Spirit, Soul & Body」で知りました。(ちなみにこのブログはいわゆる「スピリチュアル系」の話題が中心ですが、アカデミックで知的なアプローチも「ぶっ飛び系」も含めた幅広い内容で非常に興味深く、この分野に興味のある人は必見だと思います)

著者の高岡氏は「ゆる体操」の提唱者として有名な方ですが、私はこの本を読むまで、高岡氏についても「ゆる体操」についても全く予備知識がありませんでした。「プロローグ」を読むと、高岡氏はどうやらタダモノではないらしいということが分かります。「ゆる体操」が単なる思いつきだけの産物ではなく、著者の長年の経験と並外れた身体意識のセンス、運動科学のアプローチによって練り上げられたものであることが明らかになります。

この「プロローグ」部分が結構長いので、本題に入る前に、著者の自慢話が延々と続くように感じられるかもしれません。背景説明よりも、まずは体操を試してみたいという人は、そこを飛ばして「STEP 機廚ら読んだ方がいいと思います。

この本は、主に中高年の男性ビジネスマン向けに書かれたものなので、単なる体操のハウツーにとどまらず、いろいろな工夫がされているようです。「ゆる体操」の見かけの意外性から、効果について懐疑的になりがちな人たちも、一つ一つ納得しながら実践することができるように、体操の効果についての理論的な説明に多くのページが割かれています。

この本のすごいのは、「究極のローコスト体操」を提唱していることです。疲労困憊して体操どころではない人でも、難しい技法を学んだりするような「コスト」をほとんどかけずに身体をゆるめ、身体と脳機能に飛躍的な改善効果を上げようとしているということです。

例えば、夜、布団に入って寝入るまでの「ムダな」時間を利用して簡単にできる「寝ゆる黄金の3点セット」は、その気になればすぐにできるものですが、私の場合寝る前に数分間やってみただけで、翌朝明らかに身体がスッキリしたという実感がありました。改善効果がはっきりと自覚されたので、続けてみたいと思っています。

裏を返せば、私の身体はあまり自覚のないままずっとこわばっていたということですが、身体を「ゆるめる」というのは簡単そうに見えて実は難しく、この体操のように具体的なやり方を知らない限り、なかなかうまくいかないものなのだということがよく分かりました。

今、世間ではいろいろな体操が紹介されていて、学ぶのにもそれなりのコストがかかります。この本で紹介されている「ゆる体操」は、とりあえず本を読むだけで実践でき、効果も期待できるので、皆様にもお勧めしたいと思います。

特に一人で長旅をするような人は、この「ゆる体操」や操体法など、手間をかけずに自分自身を癒す技法を修得しておくことで、旅先でのケガや病気をある程度防げるようになるかもしれません。


高岡英夫著 『意識のかたち―現代に甦る天才の秘密』 の紹介記事
高岡英夫著 『図解トレーニング 身体意識を鍛える』 の紹介記事


本の評価基準

 以下の基準を目安に、私の主観で判断しています。

 ★★★★★ 座右の書として、何度も読み返したい本です
 ★★★★☆ 一度は読んでおきたい、素晴らしい本です
 ★★★☆☆ 読むだけの価値はあります
 ★★☆☆☆ よかったら暇な時に読んでみてください
 ★☆☆☆☆ 人によっては得るところがあるかも?
 ☆☆☆☆☆ ここでは紹介しないことにします

at 21:16, 浪人, 本の旅〜身体技法

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